40年前のSF映画が描いた近未来への警鐘 傑作・名作は時間が経っても色褪せない

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『トロン』
『トロン』(1982年/アメリカ/96分)

世界で初めてCGを大胆に導入した革新的な映像が話題となったディズニー製作のSFバトル・アクション。数々のビデオ・ゲームを発明した天才的なコンピューター・プログラマーのフリン(ジェフ・ブリッジス)は、人間を操り世界制覇を目論む邪悪なコンピューター総合制御システムMCPに敵対し、レーザー・ビームで電子の世界に送り込まれてしまう……。2010年に、スタイリッシュなヴィジュアル・エフェクトを“体感できる”驚異の3D映像『レガシー』(前作から20年後を描いた続編)が登場。この2作品セットのブルーレイが発売されているので、購入するならこちらがおススメ。

『THX-1138』
『THX-1138』(1971年/アメリカ/88分)

ジョージ・ルーカスの予言的なデビュー作にして、以降のSF映画に大きな影響を与えた傑作。「これは1970年における生き方の寓話だ。未来の話ではない。抑制のない消費文化から生まれる問題を描こうとした」とルーカスは語る。ある日THX-1138は、思想統制が敷かれ自由のまったくない世界から絶望的な脱出を試みる……。支配者が人間性を弾圧するという着想は、ジョージ・オーウェルの『1984年』やオルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』が代表的なアンチ・ユートピア小説から得たものと思われる。予算があったら、ロケ地は日本が予定されていたのだそう。

『ウエストワールド』
『ウエストワールド』(1973年/アメリカ/89分)

『ジュラシック・パーク』(マイケル・クライトン)の元ネタともいえる名作。近未来の豪華レジャーランド、デロス内の「ウエストワールド」は、西部劇のテーマ・パーク。来場者はその時代の一員になりきり、リアルにスリルや冒険を楽しめる画期的な娯楽施設だ。ある日原因不明の故障で、安全なはずのアンドロイドが人を襲い始める。後半執拗に追い迫るロボット・ガンマン(ユル・ブリンナーの完璧な演技!)の姿は、どうみても『ターミネーター』に継承されている。ブルーレイに収録されている(本作の続編でもある)連続TVドラマ「Beyond Westworld」(1980年)の第1話が非常に貴重だ。

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