トヨタ、2050年「脱エンジン」宣言の狙い

あらゆる面でCO2の排出をなくしていく

トヨタは環境規制を先取りし、2050年に「脱エンジン」宣言

「エンジンは生き残れない」(トヨタ自動車・伊勢清貴専務)――。
自動車業界のトップ企業であるトヨタが脱エンジンを明確に打ち出した。

トヨタは10月14日、2050年に向けた環境に対する取り組み「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表した。その目玉が、2050年にトヨタが世界で販売する新車の走行時CO2排出量(平均)を10年比で90%削減するという目標だ。

この目標達成のために、ごく一部の地域を除きエンジンのみの車をなくし、ハイブリッド車(HV)、プラグインHV(PHV)、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)といった電動化車両を中心にしていくという。

もちろん、35年先の話なので、それまではガソリン、ディーゼルともエンジンの性能を上げて使い続ける必要がある。HVやPHVもエンジンを搭載するので、厳密にはエンジンをまったくなくすというわけではない。だが、遠い未来とはいえ、自動車会社がエンジンのみの車を否定した意味は大きい。「まだ35年あるというが、自動車業界にとってエンジンが減るのは天変地異に等しい」と伊勢専務はいう。

加えて、2050年に工場からのCO2排出量をゼロにする目標も掲げた。工場設備のシンプルスリム化や工程の改良、ムダにしていたエネルギーの回収によって、直接的なCO2排出量を削減するとともに、再生エネルギーによるCO2フリー電力やCO2フリー水素の利用も進める方針だ。

工場のシンプルスリム化は近年取り組んできたことだ。初期投資低減や需要変動への柔軟な対応も可能になった。結果的にCO2排出量も大きく減らしており、その路線をいっそう推し進める。

2020年にFCV3万台以上、HV150万台

もう少し足元に近い現実的なところでは、20年にFCVを年間3万台以上、HVを150万台販売するという目標も掲げた。

昨年末に販売を開始したFCV「MIRAI(ミライ)」は、受注が殺到し納入まで数年待ちの状態だ。現段階での生産能力である年間700台を2016年に2000台、2017年に3000台にまで拡張する計画だが、3万台までは大きな乖離がある。

肝心の水素ステーションも不足気味。現状では日本国内での稼働済みが27カ所、計画中と合わせても81カ所しかない。FCVに対するトヨタの決意を改めて示すことで、政府やインフラ企業に投資を促す狙いがある。

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