日本企業は「AI技術」を使って何をするべきか 世界では技術の争奪戦が始まっている
――AIやIoTに関連した事業プロジェクトは、どの程度進んでいるのでしょうか。
企業によって濃淡はありますが、ほとんどの経営者はAIやIoTに「産業構造が変わってしまうんじゃないか?」という漠然とした不安を感じています。アンドロイドOSやクアルコムのチップのように気づいたらデファクトスタンダードを取られているかもしれない不安です。あとは「インパクトはありそうだが、本当に儲かるのか?」や「AIをやらないと、われわれはどうなってしまうのか?」といった声も聞きます。経営者が「ウチもAIで何かできないか調べてくれ」と社内に指示を出した段階だと言えるでしょう。
現場は混乱
――「AIで何かできないか?」とふられた現場はどうなっているのでしょうか。
現場は混乱しています。かなりの大企業でも部門ごとにリテラシーの差があり、「AI、ビッグデータ、IoT、インダストリー4.0などが混ざってしまってよくわからない」という部門もあります。プロジェクトとしては経営者を含めてそのメカニズムを理解するところがスタート地点です。
――メカニズムというと?
センサしたデータをアルゴリズムという自動的に「問題を解く式」によって解析し、出力するというプロセスです。アルゴリズムはコンピュータ言語によってプログラミングされます。
順番に言うと、センサ→データ→アルゴリズム→出力となり、センサはハードセンサとソフトセンサに分かれ、たとえばハードセンサには温度計や、スマホにも入っているジャイロ(角速度計)があり、ソフトセンサはインターネットのSNSなどがあります。センサによってデータが収集され、アルゴリズムで解析されて答えが出ます。
この出力が出力デバイス、たとえばアクチュエータ(駆動装置)につながって物理的動作になればロボットになります。IoTもモノのセンサやデータポイントからセンサ→データ→アルゴリズム→出力のメカニズムで動きますが、ネットワークを通じて人間ではなく他の機械にされることによって機械同士がコミュニケーションすることもできます。いわゆるM2Mです。
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