キャビンアテンダントは「憧れ」ではなれない 超人気の就職先「CA」就職講座<1>

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沙耶さんの回答は、CAという職業を知ったきっかけを伝えているに過ぎないのです。この回答をする志望者には、誰もが子どものころ持つ、わかりやすく目立つ職業に向ける<憧れ>と<現実の職業選択>とのギャップを埋められていないことがよくあります。

確かに、パイロットを目指す男子学生も同様に子どもの頃の憧れからその職業を目指し始めることにほぼ変わりないです。しかし、ここでCAを目指す女子がパイロットを目指す男子と圧倒的に違うのは、「絶対CAになりたい」と主張するわりには、継続的に、計画的にその職業に必要なスキルを身につけることを怠ってきていることにあります。もちろん、実現可能な目標設定をし、CAに求められるスキルを確実に身に着けて試験に臨んでいる志望者もいます。

しかし、多くの志望者に見られるのはCAをリアルな職業として捉える視点の欠如です。そして、沙耶さんもそんなひとりでした。「英語は勉強してきました。でもTOEICの点数がどうしても上がらなくて、400点台のままなのです。でも一生懸命努力しました」。

いや〜、その点数は大学生として努力したスコアと言えないだろう~、と言いかけて言葉を飲みました。

英語力は求められるスキルのほんの一部に過ぎないですが、志望者が現実的に仕事を捉えて準備してきたかのひとつの目安となりうります。国際線で仕事をするなら、英語力が問われることは当然であるにも関わらず、なぜスコアを満たすことができないのか、不思議に思う読者も多いことでしょう。

明確なビジョンを持つことの重要性

沙耶さんのように、「憧れ」のCAになることが目的でCAになってからの自身をイメージできていない志望者は多いです。しかも、この傾向は筆者が支援活動をしてきた26年間ほぼ変わっていないのは驚きです。彼女たちの親世代にとっても「憧れ」の職業であったCAになりたがる娘に、それを反対する親よりも好意的に捉えて応援する母親のほうが多数派です。

また、「エアラインスクール」や「エアラインインターンシップ」など、彼女たちの「憧れ」を上手く煽るビジネスが存在するのも確かです。笑顔のCAが登場するテレビコマーシャルや雑誌の広告を見て、<憧れ>を膨らませてしまうのもわかります。しかしこの記事を読んでいるCA志望者へ、エアライン業界へのキャリア支援を専門とする筆者からアドバイスするなら、一端その<憧れ>から自身を切り離し、「CAとなって以降、何をやりがいにして働くか」を考えてみて欲しいのです。

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