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わくわくして目覚める生活を、誰にでも! 医学博士 石川善樹×リクナビNEXT編集長 細野真悟

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石川 急にテコ入れしても、リバウンドがきて、かえって健康状態の悪化を招いてしまうこともあるので注意が必要だと考えています。たとえば、某メーカーでは、社員の健診データの数値が悪かったのを機に、健康に関する大きなプロジェクトを立ち上げ、ダイエットなどを社員に課しました。結果、最初の1年は良いんです。でもその翌年から健診データが悪化したり、喫煙率がアップしたりするなど、強烈なリバウンドがありました。結局、習慣化させないと、長続きしないと思うんです。

Google本社の社食の例では、ヘルシーさを謳ったランチを提供すればするほど、社員が余計にジャンキーなものを選ぶようになったということが知られています。要因としては、「ヘルシーメニュー」という呼び方自体、まずそうなイメージがあること。結局、メニュー名を変えて提供したそうですが、このように、ウェルネス施策はひと筋縄ではいかないものなんです。

細野 年末からストレスチェックの義務化が始まりますね。

石川 ストレスチェックについても、まだまだ本当に効果が出るかどうかは、やってみないことにはわからないと思います。

細野 ではどうすればいいのでしょうか?

石川 ウェルネスの本質を考えながら試行錯誤するしかないと思います。1日をふり返ったとき、思い浮かぶ悪習慣がありますよね。それを少しずつわくわくするものに変えていくのが、ウェルネスの本質なんですよ。

Googleの例にもあるように、取り組みやすいランチとかはウェルネスに直結しますし、満足度の高いランチは、社員の生産性の向上に関わります。ちなみにランチの後、眠くなるのが普通だと思っていませんか? 実はそれは、「普通じゃない」んです。人間は不調に慣れやすいので、「普通だ」と錯覚しているだけで、単に炭水化物過多で血糖値の急激な上昇と下降が起き、眠くなる。それは普通じゃなく不調な状態なんです。

細野 身に覚えがあります(笑)。「食」に関して、上手にウェルネスに取り組む事例はありますか?

石川 オンラインゲームを開発するコロプラでは、社員が普段何を食べているか、リサーチしたそうです。すると、コンビニなどのおにぎりやジュースで済ませている人が多く、全体的に炭水化物過多だということがわかりました。そこで、社内でサラダやスープの提供を始めた。さらに調査を進めると、朝食をとらない社員が多かったんです。空腹のまま昼食でたくさん食べると、血糖値が一気に上昇してしまいます。すると、眠気が生じ、仕事の能率に悪影響を及ぼします。そこで、会社が朝食を提供したり、キッチンを設置したりするなどの対策をしました。

社員の健康を考えるうえで、「食」は基本で、もっとも重要です。社員のパフォーマンスを落とさないためには、血糖値コントロール、すなわち「食」のテコ入れがもっとも効果的なんです。この取り組みは、そのポイントを押さえたすばらしい策だと思います。

細野「食」以外で、ウェルネス施策のポイントはありますか?

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