なぜ好調?「強力わかもと」24時間フル生産 今期は20%増の25.5億円を計画

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わかもと製薬の起源の薬でもあり、現在でも売り上げの2割前後を占める。

日本を訪れる外国人観光客の間で、意外な薬が人気となっている。胃腸薬の「強力わかもと」だ。秋葉原の家電量販店や空港の近くのショッピングモール、大阪の心斎橋や道頓堀のドラッグストアなどで、まとめ買いされている。発売元のわかもと製薬は増産対応に追われており、神奈川の相模大井工場は3交代制で24時間フル稼働状態だという。

強力わかもとは、消化酵素を作る麹菌、整腸作用のある乳酸菌、ビタミン・アミノ酸・ミネラルが豊富なビール酵母という天然由来成分により、消化・整腸・栄養補給を助ける働きがある。国民の栄養状況が悪かった昭和初期の1929年に新栄養剤「若素」として発売され、改良を重ねて現在の形になった。わかもと製薬の起源となった薬であり、今でも全体で100億円強ある売り上げのうち、2割前後を占める主力品だ。

2年前から底を打った

近年の大衆薬市場は停滞しており、強力わかもとの国内売上高も減少傾向にあった。ところが2012年度を底に販売が盛り返し、2014年度の売り上げは前期比14.2%増の約21億円に拡大。2015年度はさらに伸びると見て、同20%増の25.5億円を計画している。

 再成長の原動力となったのは、台湾人を中心とした訪日外国人の“爆買い”だ。実は、わかもと製薬は強力わかもとを台湾、シンガポール、香港などでも販売しており、中でも台湾では胃腸薬のトップブランドだという。現地の代理店がテレビCMやラッピングバスなどの広告宣伝を積極的に行っているおかげで、認知度は抜群だ。

その薬がなぜ日本で買われるのかというと、台湾よりも安く購入できるから。960錠入りの製品が、台湾では3000円程度なのに対し、日本のドラッグストアなどでは1000錠入りが2000円前後(国内の希望小売価格は税抜き2500円)で買える。その値頃感もあり、台湾人が家族や親戚のためにまとめ買いすることが多いようだ。また医薬品や化粧品などが免税対象となった昨年10月以降、需要はさらに沸騰している。

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