なぜ好調?「強力わかもと」24時間フル生産 今期は20%増の25.5億円を計画

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中国語圏の訪日旅行客向けに発売されている複数の買い物ガイドにも、強力わかもとは解熱鎮痛剤「イブA錠」(エスエス製薬)、整腸薬「新ビオフェルミンS細粒」(ビオフェルミン製薬)などと並んで、おすすめの医薬品として紹介されている。

台湾在住のドラッグストア研究家、鄭世彬氏が書いた『日本薬粧美研購』(日本医薬化粧品コスメ購入ガイド)には、「台湾でも昔から販売されており、広告もおなじみ。それゆえ、ほとんどの台湾人が若元錠(強力わかもと)を知っている。日本ではかなり安く手に入るので、台湾人が買いあさっている」というコメントが添えられている。

工場の増強投資には”慎重”

訪日外国人旅行者は2014年に1341万人と過去最高を記録。中国からの観光客の爆買いばかり注目されがちだが、日本政府観光局(JINTO)の統計によれば、昨年、台湾からの訪日外国人は282万人と中国の240万人を上回り、アジア(1081万人)の中でもっとも多かった。

販売は好調だが、さらなる増産投資には慎重。

今年も訪日の勢いは衰えず、1月~8月までの累計で5割増の1287万人と、通年の過去最高更新は確実だ。台湾からの旅行者も8月までの累計で246万人、8月単月は前年同月比36.6%増の31万人と過去最高を記録。31カ月連続で各月の過去最高を更新している。

わかもと製薬は、訪日外国人のおみやげ需要を最大限取り込むべく、中国語の日本観光ガイド本に強力わかもとの広告を出稿。同社の売上高の過半を占める医療用眼科薬の新製品開発には時間がかかるため、今後、強力わかもとの姉妹品の開発を予定しており、それが”援軍”となる期待もある。

工場はフル生産状態だが、突如始まったこの盛り上がりがいつまで続くかが不透明なため、増産投資を行うかはまだ検討段階だ。しばらく主力の医療用眼科薬の陰に隠れて、存在感を発揮していなかった「強力わかもと」。社名の由来となったこの製品が、今再び、業績を強力に支えている。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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