ラオックスはいまや外国人でいっぱい ”14年連続赤字から黒字へ”羅怡文社長に聞く

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銀座のラオックスには大型バスが横付けされ、次々と中国人が入っていく
銀座の大通りに15分おきに到着する大型バス。そこから次々に降りてくる中国人が吸い込まれるように入っていくのは、真っ赤な看板の「ラオックス」だ。店の中を覗くと、高級時計やブランド鞄、化粧品や紙おむつ、炊飯器やカメラなど、日本メーカーの商品を中心に、3フロアに分けて並べられている。まさに総合免税店だ。ラオックスといえば、家電量販店という印象を持っている人はまだ多いのではないだろうか。実は2010年、訪日外国人のための”総合免税店”へと大きく方向転換。現在では銀座や秋葉原、お台場などに総合免税店15店を構える。訪日外国人向けの免税店ビジネスと今後の経営について、ラオックスの羅怡文社長に聞いた。

 

――2013年に年間の訪日客数が1000万人を越えました。日本では免税店ビジネスはかなり成長分野なのではないでしょうか。

 今までは、日本のマーケットは日本人のためのマーケットだった。だが、その日本のマーケットは、日本人のためのマーケットから、徐々に海外の人も使うグローバル・マーケットになっている。そのプラス部分は、我々がやっている免税ビジネスで、成長性が高い。今年入国するのはおそらく1200万人超。マーケットはこれから非常に成長する。

特に中国の人は、昨年130万人来日し、おそらく今年は200万人。これから300万、500万、たぶん1000万人くらいが恒常的に日本に来る時代は、そう遠くない。かつて1980年代、海外のどこに行っても日本人ばかりだった。

ラオックスにも年間72~73カ国のお客さんが来るが、全体の5割強が中国のお客さんで、購買力も断トツだ。中国のお客さんの平均単価は5万円くらい。ラオックスは社員で10カ国語対応できるようにしているが、中国語と日本語、英語はいつでも対応できるようにしている。一番買ってくれる中国のお客さんを最重点でやっていくが、当然マイナス面もある。日中関係が悪い時は、中国からのお客さんが激減することもある。よりバランスの取れるように色々な国から来ていただきたい。

親会社の蘇寧電器の力も大きい 

羅 怡文(ら・いぶん)●1963年上海市生まれ、89年来日。96年横浜国立大学大学院経済研究科修了。95年に中文産業を設立。2006年に上海新天地(現・日本観光免税)を設立。09年に日本観光免税がラオックスの主要株主になったのに伴い、社長に就任、現職。  (撮影:尾形文繁)

――中国からの来店客が多いのは、中国最大の家電量販店の蘇寧電器が親会社であることと関係があるのでしょうか。

 連携することで信頼や安心感が上がることは確かだが、中国からのお客さんの数が増えていること(自体)が大きい。ただ、蘇寧電器とはアフターサービスで提携しており、日本のラオックスで買ったものを中国全土にある蘇寧電器に持っていけば、交換修理の受付ができる。これはラオックスだけのサービス。また、蘇寧電器の大型店舗を利用してポスターを貼り、ラオックスのことを紹介している。これからもラオックスのブランド知名度をさらにアップさせるため、当然、蘇寧電器の力も借りたいと思っている。

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