大手経営コンサルは、「広告代理店」になった デジタル広告で存在感を発揮
世界規模で経営コンサルティング事業を行う企業「デロイトコンサルティング」。その子会社で、デジタルエージェンシーの「デロイトデジタル」は、設立4年で売上15億ドル(約1816億円)の規模に成長した。強みは経営コンサルティングのノウハウで培った、既存のエージェンシーでは提供できない包括的なサービスだ。単なる広告代理店業務だけでなく、戦略策定、ロジスティックス、税務などまで、事業範囲を買収攻勢によって拡大している。
あらゆる業務を代行するエージェンシー
「デロイトデジタル」の成り立ちは、同社の社長マイク・ブリンカー氏が「デロイトコンサルティング」の主任だった時に、とある大手ブランドのマーケティング最高責任者(CMO)から相談を受けたことにある。そのCMOは、提携先のパートナーが増えすぎて、頭を悩ませていたのだ。
開示してもらったパートナーのリストには、広告制作会社、サプライ・チェーン、ロジスティックスを扱う企業など、75にも及ぶ業種が並んでいた。ひとつやふたつ、経営コンサルティングも混ざっていたという。「つまり、ハブから75本のスポークが飛び出しているような状態。まったくのごちゃごちゃだった」とブリンカー氏は語る。
そこで、戦略からロジスティックス、税務支援や広告サービスまで、ありとあらゆる業務を代行する「デロイトデジタル」の設立を思い立つ。それが、4年前のことだ。世界中に6000人もの従業員を抱える同社。もはや独立してもいいようなものだが、デジタル・コンサルティング・エージェンシーであると自らの強みを示すために、いまでも「デロイトコンサルティング」グループ傘下に収まっている。
「『思考の実践だけ』というのは、終わったモデルだ」と、ブリンカー氏。インパクトを与えたいのであれば、ハイレベルな戦略が必要だ。昔ながらのクリエイティブやキャンペーン分析と同様に、デロイトならハイレベルな戦略ニーズにも応えることができる。