北尾吉孝氏は「バイオ・エンジェル」になった

SBIがバイオ事業の育成に邁進する理由

僕自身は日本の中では「異端の経営者」かもしれないが、自分の立場はつねに確認している。今回は「義を見てせざるは勇なきなり」と思い、窪田さんの支援に回った。僕は「論語」をはじめ中国の古典を小さいころから読んできたから、こういうときにどう動くべきか、すぐに判断ができる。最近の経営者に足りないのは大きな事案が起きたときに「何が正しいか」を判断する力だ。

僕は10年以上海外に住んでいたし、ケンブリッジを卒業していることもあって、考え方はウエスタナイズ(西洋化)されている部分もあるかもしれない。最近は何でも下に任せるという風潮があるが、経営トップには、自分ひとりで決断を下さなきゃならんときが必ずあるんです。そういうときに、中国古典をはじめとする教養が役に立つ。古典には危機に陥ったときにどう動くべきかが書かれている。教養がないと正しい判断ができない。休日にゴルフばかりしている経営者ではダメだ。

バイオ事業を収益化、3年以内に株式公開

――SBIグループ自身ではどんな薬を開発していますか。

われわれの目的は「人類の健康増進に役立つ」こと。僕がCEOのあいだにバイオ部門を収益化し、SBIファーマについては3年以内の株式公開をする計画です。

今いちばん力を入れているのは、ALA(アラ、5-アミノレブリン酸)。非常にユニークな天然アミノ酸で、動植物は必ず体内に持っている。人では鉄と結びついてヘモグロビンの、植物の場合はマグネシウムと結びついてクロロフィルの原料になる。ミトコンドリア内でのエネルギー産生に重要な役割を果たすことは1950年代から知られていたが、ワトソン・クリックの2重らせん構造発見の陰に隠れてあまり研究が進んでいなかった。

それを、コスモ石油の中央研究所の研究員だった田中(徹・現SBIファーマCTO)さんが社内の自由研究としてやっていた。最初は肥料として考えていたが、合成が難しいため単価が高くてとても肥料には使えない。それを、田中さんが特殊な発酵法を考案したことで大量生産が可能になった。

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