徹底比較!私鉄各社「通勤ライナー」の実力

攻める小田急、京急は朝上り列車を新設

私鉄各社の通勤ライナー、その実力は?(写真は小田急電鉄の特急ロマンスカーEXE)

8月28日、小田急電鉄の山木利満社長は、海老名市役所で会見に臨み、2016年3月からの特急ロマンスカーの海老名駅・伊勢原駅停車を正式に発表した。海老名市は市民の悲願であるロマンスカー海老名駅停車を長年にわたって小田急に要望してきた。山木社長が海老名市役所で会見を開いたことが、市民の思いが小田急に届いたことを物語っていた。

同社は今回の決定について「当社線を含め3路線が乗り入れする神奈川県央地域のターミナル駅であり、近年の圏央道開通や駅周辺地域の開発の進捗により地域の魅力が著しく向上し、今後は当社による海老名駅間地区の開発なども控えている。特急停車によるさらなる交通利便性の向上により、地域の発展に寄与していく」と表明した。ロマンスカー停車を今後の海老名駅前大規模開発の起爆剤にしたいとの思いがにじむ。

なぜ海老名に特急が停車するのか

海老名市では1981年から、神奈川県鉄道輸送力増強促進会議等を通して、小田急に対して特急ロマンスカー停車を働き掛けてきた。背景には、都心へ通勤する住民や他地域からの観光客に海老名駅を特急停車駅としてアピールできることが、街の競争力向上につながるとの問題意識がある。

筆者も拙著『「通勤ライナー」はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版、2013年)の中で、小田急ロマンスカー海老名駅停車を提案していた。2018年度にも予定されている相模鉄道線・JR東海道本線直通線「神奈川東部方面線」開業による都心直通や、東海道新幹線倉見新駅開業で競争が発生する時に備えて小田急線の競争力を強化する必要性があり、またロマンスカー停車により増収が可能になると考えてのことだった。

そして、少子高齢化社会では、鉄道事業者にとって収益確保がますます重要となっている。特急の通勤利用の促進は、JRや大手私鉄にとって重要な課題となりつつある。

首都圏を中心として、有料着席列車の通勤利用が盛んに行なわれており、鉄道事業者にとっても大きなビジネスチャンスとなっている。鉄道事業者はこの機会をとらえて、通勤利用向けに有料着席サービスを提供する快速列車や特急列車等を広く運行しているのである。本記事ではこうした列車を「通勤ライナー」と呼ぶことにしたい。

通勤ライナーの草分けは、1967年6月23日に定期券での特急ロマンスカーへの乗車制度を開始した小田急である。特急ロマンスカーの通勤利用を表わす「ロマンスカー通勤」という言葉は特急通勤の代名詞ともなっている。

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