北海道新幹線、なぜ「1日10往復」だけなのか 衝撃の少なさに地元民も落胆

拡大
縮小
函館駅。北海道新幹線開業に向けて準備や宣伝も始まっているが……(撮影 : 尾形文繁)

2015年3月の北陸新幹線金沢延伸に続いて、2016年3月には北海道新幹線の新青森―新函館北斗間が開通する。

だが、一部に新造車両「H5系」がニュースにはなっているものの、現時点では北陸新幹線ほどの話題を提供しているとは言いがたい。ともすれば、新幹線の試験運転のために寝台特急の「北斗星」が廃止されたというニュースの方が大きな関心を呼んでいるぐらいだ。

東京直通「10往復」という運行計画の波紋

そんな中、8月末に流れた報道では、「東京から新函館北斗の直通電車『はやぶさ』は1日10往復、これに加えて新青森発、盛岡発、仙台発の区間運転列車『はやて』がそれぞれ1往復、全体で北海道新幹線の運行は1日13往復」という運行計画が明らかとなった。これに加えて、年末年始やお盆などの多客期には1日最大4往復程度の臨時列車が検討されている。

これは正式な発表ではないが、地元の函館市長、北斗市長が新聞にコメントを寄せているところを見ると信憑性の高い情報と思われる。そして、その両市は共にこのニュースを冷静に受け止めているようだ。

だが、東京から新函館北斗の「1日10往復」というのはかなり少ない数字だ。たとえば、現在の東京―新青森間を直通運転する「はやぶさ」は1日17往復あるので、その中の10本だけしか北海道新幹線には乗り入れないことになる。近年に開通したほかの区間と比較しても、フィーバーの続く北陸新幹線の東京―金沢間の直通列車は「かがやき」「はくたか」あわせて1日24往復。新大阪―鹿児島中央間を走る「みずほ」「さくら」が23往復(いずれも定期列車のみ)という数字と比較するとその少なさは歴然としている。

ミニ新幹線で対応している東京―秋田間の「こまち」が1日15往復、東京―山形・新庄間の「つばさ」が16.5往復という数字と比べても「10往復」というのは少ない。ちなみに新幹線の駅で停車本数が「一日13本」というのは安中榛名(12本)並であり、最近ホームの無人化が話題になった新玉名駅でも一日の停車数は上下各28本ある。

さらに言えば、新青森―新函館北斗間を走る「13往復」というのは、現在在来線特急として新青森―函館間を結ぶ「白鳥」「スーパー白鳥」の臨時列車を含めた本数(9~11月で12本)と、ほとんど変わらないばかりか、新幹線開業準備に伴って「北斗星」「トワイライトエクスプレス」が廃止され、「カシオペア」も廃止の可能性が高いことを考えると、青函区間の旅客輸送列車の本数が大幅に削減されたという表現も可能だ。

次ページ10往復になった2つの理由
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT