暴落した原油価格、年末に向けた展望は? 6年半ぶりの安値、さらに下落か反発か?

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8月末に一時反発した原油価格。その後は乱高下している(写真:zenpaku/PIXTA)

原油価格の下落が止まらない。NY・WTI原油先物価格は一時1バレル=37ドル台まで下落。何と約6年半ぶりの安値をつけた。

2015年以降、労働人口のピークアウトで、中国経済の成長ペースが鈍化すると見ていたため、2014年秋から今春にかけての原油価格下落はおおむね予想どおりだった。

しかし、価格下落を受けて、原油の最大消費国である米国の需要が回復。北米の石油掘削リグ稼働数の減少による生産調整期待も重なり、WTI原油価格は、今年3月の40ドル台前半から5~6月に60ドル台まで“スピード違反”ぎみに反転上昇した。

原油の在庫が積み上がっていた

ただ、その間にもOPEC(石油輸出国機構)に加盟していない産油国の生産調整が先送りされ、実際には世界の原油在庫は急速に積み上がっていた。米エネルギー省の推計ではOECD(経済協力開発機構)の工業在庫日数は、2014年末の57.0日から63.9日まで上昇したとされる。

需要面でも続々とマイナス要因が発生。7月にはIMF(国際通貨基金)が世界の実質GDP見通しを3.3%へ、4月時点から0.2ポイント引き下げた。さらに株価急落に対する中国政府のお粗末な対応が、「政策執行能力への信頼」を低下させ、原油需要の増加期待をしぼませた。

こうした供給・需要の両サイドからの要因が6月から8月にかけて原油価格の急落を引き起こしたのだ。

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