もしアメリカが利上げしたら暴落になる 日経平均は1万9000円維持が反転の条件

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もう一度日本に目を向ければ、4~6月期の実質GDP成長率が前期比年率でマイナス1.6%と、1〜3月のプラス4.5%から一転してマイナス成長となった。

7〜9月もマイナス成長が続き、中国経済の減速を背景とした企業業績悪化が顕在化するなら、さすがにシナリオ変更も検討しなければなるまい。ただし、7月分の輸出は持ち直している。5月以降、回復傾向にある輸出が、勢いを維持できるかに注目したい。

まずは日経平均の1万9000円維持を確認

一方、テクニカル面だが、日本株が急落した7月9日の騰落レシオが82.3%まで低下したのち、日経平均は安値から7営業日で最大1735円も急騰した。今回も80%台に低下しただけでなく、10日や6日など短期間の騰落レシオがそれぞれ売られすぎといわれるゾーンである60%台、40%台に急低下し、当時の株価の大幅回復局面と同じパターンにある。

そのため、短期的に株価が反発する可能性は十分にある。ただし、目先は株価を押し上げるような起爆剤がない。政府の景気刺激策や予想外の追加緩和策などが待たれるが、まずは海外市場の回復と日経平均の1万9000円維持を確認したい。

一方で、「これまで高かった銘柄を安値で買うチャンス」と考えれば、1万9000円までの下落場面は押し目買いの好機でもある。

目先の株価レンジはやや広めではあるが、1万9000円~2万0500円としたい。もし1万9000円を明確に割り込んだ場合には、1万7500円~1万8300円までの下落も視野に入り、年内の高値更新は困難になる可能性がある。ただその場合はいわゆる「催促相場」となり、前述の対策などが大きく現実味を帯びるはずだ。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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