もしアメリカが利上げしたら暴落になる 日経平均は1万9000円維持が反転の条件

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だが、米国のヘッジファンドは食品などのいわゆるディフェンシブ銘柄へのシフトを進めており、関連銘柄の保有高は2011年以来の高水準にあるという。彼らも中国景気鈍化を背景とした世界成長見通しの悪化、ドル高、米利上げ観測などをリスクと考えており、ディフェンシブ銘柄へのシフトが賢明と判断している。こうした背景もあり、海外投資家の買いに期待しづらいのが現状だ。

米利上げは株安を助長する可能性

もし、光明があるとすれば、20日の海外市場でコモディティ価格が下げなかったことである。すでにかなり売り込まれていることもあるが、もし下げ止まるなら、これが欧米の主要株価の下支え要因になる可能性がある。

一方、米利上げ時期についても、「9月から12月へ後ずれする」と見る向きが一気に増えそうだ。

FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長はこれまで、金融政策の正常化を目的とした年内利上げを言明し、その後の利上げペースは緩やかなものになるとしてきた。

しかし、この状況で本当に利上げができるのかは疑問である。FRBが利上げ敢行による市場へのリスクを考慮し、利上げ時期を早くても12月、場合によっては来年以降に後ずれさせると発言すれば、それ自体は短期的な株価押し上げにつながるだろう。

ただ、一方で「見送り」となれは、FRBへの信頼は大きく崩れることになり、金融市場の混乱につながる可能性もある。著名ヘッジファンド・マネージャーのレイ・ダリオ氏は、1937年以降の米国株の暴落の背景が道半ばの景気回復過程での利上げにあったことになぞらえて、現在の市場環境下での米利上げが株価急落を招くと指摘する。このような見方が市場に存在することは、念頭に入れておくべきであろう。

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