上司はなぜ「斬新なアイデア」を潰すのか?

責任回避、社内重視、悲観主義のメカニズム

「それを言ったら終わりだろ!?」と言いたくなるような理由で新企画をボツにする上司、心当たりはありませんか?(写真:xiangtao / PIXTA)
「組織の論理」が「個人の創造性」を押さえ込もうとするのはなぜなのか?
そこには、「アリの思考」と「キリギリスの思考」の価値観や思考回路の違い、対立構造があります。
問題解決やオペレーションが得意な人材は、いわば「アリ型」です。知識はため込む「ストック重視」で、内と外を分ける巣があるがゆえに発想は「閉じた系」で、2次元の世界にとどまっています。内なる組織の論理を優先し、伝統的大企業でのルーチンワークを効率よくこなす多数派です。
一方、新たな問題を発見するイノベーションを得意とする人材は、いわば「キリギリス型」です。知識は使いこなす「フロー重視」で、巣を持たないから「開いた系」の発想ができ、3次元に跳ぶことができます。組織の中では変人と見なされ、保守的なアリからは疎まれがちです。
アリとキリギリスの対比によって、「問題発見のための思考回路」を明らかにした『問題解決のジレンマ』の著者が、「職場のジレンマ」が生じるメカニズムと不条理を上手にやり過ごす方法についてアドバイスします。
「アリの思考×キリギリスの思考」については、こちらの記事参照

 

「他社事例」がないからこそのイノベーション

第4回のテーマは、イノベーションに「他社事例」を求めるという自己矛盾です。これまでなかった新サービスの企画を考えるように命じられている「キリギリス型」のキリ山くんに、「アリ型」のアリ田課長が声をかけました。

アリ田課長:例の新しいサービスの件、その後、どうなっている?
キリ山くん:この前、お話しした方向性でいかがでしょうか?
アリ田課長:だから言ったじゃない。導入事例を示してよ。あの提案じゃ説得力がないから。
キリ山くん:あの実現例のシナリオで、具体的にわかってもらえないですかね? お客さんにどういうメリットがあるか、シミュレーション的なものも添付したつもりだったのですが。
アリ田課長:あれは単に机上で考えた話だよね。実際に、できるっていう実績がなかったら誰も信用しないよ。それから、付いていた事例って、うちと全然関係ない別の業界の、しかも聞いたこともない海外の小さな会社の話じゃない。あれじゃ話にならないよ。
キリ山くん:でも今回、経営陣から与えられている課題って「今までになかった斬新なサービスの提案」なんですよね?

 

問題解決ができる人は問題発見ができない! 思考の限界を超えるための「無知の活用法」を説く。ベストセラー『地頭力を鍛える』著者による、究極の思考法本。

「斬新なアイデアを」と言われて、いざアイデアを提案すると、上司から次のような反応が返ってきた経験はないでしょうか。

・本当に「誰もやったことのない」ことを提案すると、「これ、どこかで実績があるの?」と返される(新しいアイデアに「実績」があるわけがありません)。

・「こんな話聞いたことないよね」と言われる(どこかで聞いたことのある話だったら斬新ではありません)。

・「この業界の『常識』を知らないの?」と冷ややかな反応が返ってくる(業界の常識に従ったような施策は、どこの会社でも実施済みです)。

揚げ句の果てには、

・「(直接競合の)A社はどうしてるんだろう?」と一気に弱気の反応が返ってくる(「横を見る」ならば、初めから「斬新なアイデア」なんて言わなければよいのです)。

次ページなぜ、このような自己矛盾が起こるのか
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