強烈な「私情」が、仕事力を極限まで高める

イノベーションを起こすには「公私混同」せよ

仕事に「私情」を挟むことで生まれるものがある?(写真 : Elnur / PIXTA)
「組織の論理」が「個人の創造性」を押さえ込もうとするのはなぜなのか?
そこには、「アリの思考」と「キリギリスの思考」の価値観や思考回路の違い、対立構造があります。
問題解決やオペレーションが得意な人材は、いわば「アリ型」です。知識はため込む「ストック重視」で、内と外を分ける巣があるがゆえに発想は「閉じた系」で、2次元の世界にとどまっています。内なる組織の論理を優先し、伝統的大企業でのルーチンワークを効率よくこなす多数派です。
一方、新たな問題を発見するイノベーションを得意とする人材は、いわば「キリギリス型」です。知識は使いこなす「フロー重視」で、巣を持たないから「開いた系」の発想ができ、3次元に跳ぶことができます。組織の中では変人と見なされ、保守的なアリからは疎まれがちです。
アリとキリギリスの対比によって、「問題発見のための思考回路」を明らかにした『問題解決のジレンマ』の著者が、「職場のジレンマ」が生じるメカニズムと不条理を上手にやり過ごす方法についてアドバイスします。
「アリの思考×キリギリスの思考」については、こちらの記事参照

仕事に「私情」を挟んではいけない?

第3回のテーマは、創造的な仕事には個人の「思い入れ」が欠かせないのに、効率重視の企業組織では、それがなかなか認められないというジレンマです。新しい企画に取り組み、それをやり遂げたいと考えているキリギリス型のキリ山くんが、組織の論理を重視するアリ型のアリ田部長に直談判しています。

キリ山くん:今回の企画、すごく個人的にも思い入れがあるので、ぜひ私にやらせてほしいんですけど、いかがでしょうか?
アリ田課長:思い入れがあるのはいいことなんだけど、ここは会社だからね。あまり個人の感情を入れられても困るんだよね。
キリ山くん:どうしてですか?
アリ田課長:何年も社会人をやっていてそんなこともわからないの? 仕事に私情を挟んじゃいけないなんて、常識中の常識でしょ!? それに組織っていうのは、集団で動くものなんだよ。プロジェクトは独りでやるものじゃない。たとえば、君が途中で異動になったらどうするの? 誰が後任になっても引き継ぎできるようになっていなきゃ困るじゃない。
キリ山くん:せめてこの仕事は最後までやらせてもらえないですかね?
アリ田課長:だから何度も言わせないでよ。ここは組織なんだよ、組織。辞令ひとつで君がいつ、どこに行くことになるかわからないでしょ!?

 

問題解決ができる人は問題発見ができない! 思考の限界を超えるための「無知の活用法」を説く。ベストセラー『地頭力を鍛える』著者による、究極の思考法本。

どこの会社でも、あるいはどの職種でも、これまでの仕事の単なる繰り返しでなく、新しい商品やアイデアを生み出すための創造的な仕事がなんらかの形で求められています。

また同様に、これまでに積み重ねた過去の「前例」を踏襲するだけでなく、環境変化に合わせた新しいやり方を生み出していかなければならない場面も、あらゆるビジネスシーンで見られます。

必ずしも論理やデータが通用しないのがイノベーションの世界です。新しい創造をするときには、しばしば個人の直観や感情、思い入れが重要になります。斬新なアイデア、商品やサービスは、従来の常識にとらわれない、イノベーターの「私情」や「思い入れ」から生まれることが多いのは、たとえばベンチャー事業を大きくしている起業家たちを思い浮かべれば明らかでしょう。

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