なぜあの人は「できない理由」ばかり探すのか

専門家が社内の"抵抗勢力"になるメカニズム

組織に「できない理由」を探す人がいるのは、ある意味「必然」と言えます(写真:freehandz / PIXTA)
「組織の論理」が「個人の創造性」を押さえ込もうとするのはなぜなのか?
そこには、「アリの思考」と「キリギリスの思考」の価値観や思考回路の違い、対立構造があります。
問題解決やオペレーションが得意な人材は、いわば「アリ型」です。知識はため込む「ストック重視」で、内と外を分ける巣があるがゆえに発想は「閉じた系」で、2次元の世界にとどまっています。内なる組織の論理を優先し、伝統的大企業でのルーチンワークを効率よくこなす多数派です。
一方、新たな問題を発見するイノベーションを得意とする人材は、いわば「キリギリス型」です。知識は使いこなす「フロー重視」で、巣を持たないから「開いた系」の発想ができ、3次元に跳ぶことができます。組織の中では変人と見なされ、保守的なアリからは疎まれがちです。
アリとキリギリスの対比によって、「問題発見のための思考回路」を明らかにした『問題解決のジレンマ』の著者が、「職場のジレンマ」が生じるメカニズムと不条理を上手にやり過ごす方法についてアドバイスします。
「アリの思考×キリギリスの思考」については、こちらの記事参照

新企画に立ちはだかる壁

第2回のテーマは、「専門家の功罪」です。前回と同様に「キリギリス型」部下のキリ山くんと、「アリ型」上司のアリ田課長の会話から見ていきましょう。

キリ山くん:タブレットを使った新しい商談サポートシステムの企画の件、どうですかね? 専門家としてのご意見をお聞きしたいんですが……。
アリ田課長:ああ、あれね。端末は違うが似たようなことって10年前にもやったことあるけど、うまくいかないんだよね、ああいうのって。
キリ山くん:どうしてですか?
アリ田課長:まずね、営業の人って忙しいだろ。いちいち新しいシステムなんて覚えていられないって総スカンくらうんだよね。おまけに一度、試験的な運用をしている途中でネットワークがトラブったおかげで大クレームになったりね。あと、結局、お客様もやっぱり紙の資料がほしいとか言い出して。それから……。
キリ山くん:えっ!? まだあるんですか??

 

問題解決ができる人は問題発見ができない! 思考の限界を超えるための「無知の活用法」を説く。ベストセラー『地頭力を鍛える』著者による、究極の思考法本。

組織で物事を動かしていくのに、経験者や専門家は不可欠です。ところが皮肉にも、新しいことを始めるときに最も強力な「抵抗勢力」となって立ちはだかるのが「専門家」なのです。ここでは、10年前に同じようなプロジェクトを経験した専門家であるアリ田課長が、「できない理由」を述べ立てています。

言うまでもなく、優秀な専門家が集まれば組織は強くなっていきます。それなりの大きさの組織になれば、技術の専門家、財務や法律・規制の専門家、マーケティングの専門家といった具合にさまざまな分野の専門家が必要不可欠になってきます。

次ページ「アリの頂点」としての専門家
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