戦後70年、いまだに敗戦国扱いされる日本 国連とは第二次大戦の「連合国」の意味である

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日本はいつまで敗戦国として扱われるのか(写真は2014年の8月15日。撮影:新華社/アフロ)

集団的自衛権を行使することのできるフランス

戦後70年が経った今、日本の敗戦が日本以外の国でいかに捉えられているのかを示す象徴的な事があった。

6月29日、午後3時から外国人記者クラブで行なわれた日本大学名誉教授の百地章氏と駒澤大学名誉教授の西修氏の記者会見がそれである。

百地、西両教授とも、国会審議中の安保法制を巡る議論の中で論陣を張る、数少ない集団的自衛権「合憲派」である。両氏は記者たちの前で、簡潔にして明快な憲法論を展開して、集団的自衛権がいかに合憲であるかを陳述。その後、質疑応答になった。

日本人記者の質問にも、外国人記者にも丁寧に英語で答えて、和やかな雰囲気で時間が経過していた。やがてフランス人の初老の記者が立ち鷹揚な態度でこう質問した。

「国連憲章51条の規定によると、国際紛争は国連安保理に預けることになっているのにもかかわらず、なぜ日本は集団的自衛権まで行使しようとするのか。1930年代の日本は数々の国際条約を破り、侵略戦争を起こした。日本が再度侵略をしないとの保証があるのか」

これに対して百地氏は、「なぜ日本だけが侵略すると思うのか、日本の集団的自衛権行使は日本国憲法の規定に従ってごく限定的なものである。全面的な集団的自衛権を持っているフランスが集団的自衛を理由に侵略戦争を起こさないという保証はどこにあるのか」と逆に質問したところ、そのフランス人記者は「フランス人は憲法を尊重するからである」と答えた。

これには場内から失笑が漏れた。すかさず百地氏が、それではフランスの現行憲法が制定される1789年以前に施行されていた奴隷制度がフランス政府によっていつ採用されるかわからないとの議論に繋がってくる。日本国民も日本国憲法施行以来、戦後70年にわたり、平和を守り、憲法を尊重している、と切り返した。

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