エンジニアが欲しい米大学が出した「奥の手」

街ぐるみで対策に乗り出した

シアトルのハイテク経済の基盤を強化しようと「グローバル・イノベーション・エクスチェンジ」の新設を発表した、清華大学の邱勇学長とワシントン大学のアナ・マリ・コース臨時学長(写真:Ian C. Bates/The New York Times)

アマゾンやマイクロソフトの本拠地であるシアトル周辺は、テクノロジー産業の地としてアメリカでもトップクラスに位置する。しかし、この地域はある点でほかのテクノロジー産業地域から遅れをとっている。「研究大学(指導だけでなく研究にも重点が置かれる大学)」が、ワシントン大学1校しかないのだ。それに対して、テクノロジーで有名なほかの街には、最低でも2校は研究大学がある。

何年もの間、この弱点がシアトルの人々を不安にさせてきた。コンピュータ関連の学位を持つ人の数が足りないため、そうしたスキルに対する需要を満たせず、同地域の経済の妨げになるのでは、と考えられてきたのだ。マイクロソフトの最高顧問弁護士であるブラッド・フォード・L・スミスは、「高等教育に関して、われわれが相対的に不利なポジションにあることはずっと認識してきた」と言う。

中国の大学と組んで、来秋スタート

そこで、この地域のハイテク経済の基盤を強化しようと、シアトル学術界のトップと実業界のリーダーがある教育機関を新設する計画を発表した。名称は「グローバル・イノベーション・エクスチェンジ」。中国の有名な研究大学である清華大学とワシントン大学とのパートナーシップにより設立され、2016年秋に開校。テクノロジー・イノベーションの修士のプログラムからスタートする。

グローバル・イノベーション・エクスチェンジの設立にはマイクロソフトも協力し、4000万ドルを提供する。この資金の一部は、ワシントン州ベルビューの大型都市開発プロジェクトの中で行われる、同校の拠点の建設に充てられる。ワシントン大学のメインキャンパスから約16キロメートル離れたところでの開校だ。同校の教授陣はワシントン大学と清華大学から招かれる予定で、やがては同校がパートナーにしたいと考えているほかの国際大学からも招聘されるという。

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