エンジニアが欲しい米大学が出した「奥の手」 街ぐるみで対策に乗り出した

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ワシントン大学は、グローバル・イノベーション・エクスチェンジの設立以外の方法でも、コンピュータ科学専攻の卒業生を増やそうとしている。先日、同大は1億1000万ドルかけて約1万2000平方メートルのコンピュータ科学棟を建設すると発表した。費用のうち1000万ドルをマイクロソフトが提供し、最大の寄付者となる。これにより、コンピュータ科学専攻の卒業生を、これまでの倍の年間600人にすることができるという。

グローバル・イノベーション・エクスチェンジは、最初は長期的な研究に集中せず、「プロジェクトベースの学び」にフォーカスする。つまり、学生は集中的に短期のプロジェクトに取り組む、ということだ。最初に学生たちが手掛けるプロジェクトは、ウェアラブル技術やモノのインターネットに関連したものとなる。

清華大学の邱勇学長は次のように述べる。「中国とアメリカは技術イノベーションに大きな強みを持つ。両国間での高等教育のコラボレーションは、世界中で科学と技術の進歩を促進し、社会の発展を促すだろう」。

ニューヨークではコーネル・テックが始動

グローバル・イノベーション・エクスチェンジは、コーネル・テック(コーネル大学の大学院のひとつ)に影響を受けた部分もある。コーネル・テックは、コンピュータ科学にフォーカスした新たなキャンパスをニューヨークのルーズベルト島に建設している。このプロジェクトにも、イスラエル工科大学という海外のパートナーがいる。また、テクノロジー企業とのコラボレーションも計画されており、その狙いのひとつは業界のトレンドに敏感に対応することだ。

コーネル・テックのダニエル・P・ヒュッテンロッシャー学長は、シアトルの大学院の創設にも期待していると語った。

グローバル・イノベーション・エクスチェンジの創設者たちは、アメリカでトップの工科大学であるMIT(マサチューセッツ工科大学)にならって、早くも同校を「GIX」とイニシャルで呼び始めている。彼らはときには「GIX」を「ギークス」と発音する。コースは言う。「今はギークス(コンピュータおたく)が強い時代だ」。

(執筆:Nick Wingfield記者、翻訳:東方雅美)
© 2015 New York Times News Service

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