日経平均が再び4万1000円を超えたらどうするか 4月から年末までの「日本株投資戦略」を考える

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日本株についての予測に戻ろう。高値圏での短期的な調整局面も想定されるため、今後の株価の値動きには一層注意したい。前回の配信時には、「年前半にもう一段の高値の可能性、年後半は波乱も想定」としていたが、この見方は不変だ。

一方、日経平均の今年の高値安値については微修正したい。高値予想については前回は「4万円超~4万2000円(3~6月)」、安値も「3万5000円程度(10月)」と予想していた。今回配信分では、高値については「4万0888円~4万2500円(3~5月)」、安値「3万5500円~3万7500円(8~10月)」としたい。

今後の日本株の物色対象は?

今までの説明のように、私は短期的(4~5月)にみると日米金利差は縮小しないものの、中期的(6~12月)にみると日米金利差は縮小するとみる。その意味で、そろそろ6月以降から年末をにらんだ運用戦略を考えてみたい。

今後の日本株の物色対象は、米国株の上昇局面では引き続き半導体・AI関連株が主導になるとみている。だが、景気に左右されずに収益を稼ぐことができる「ディフェンシブ系高配当株」にも引き続き注目したい。

また、年後半からの物色対象として、円高・金利上昇に強い業種や銘柄に注目が集まるとみている。そのためには、今後のFOMC(4月30日~5月1日、6月11~12日、7月30~31日)や、日銀金融政策決定会合(4月25~26日、6月13~14日、7月30~31日)での植田総裁発言や追加利上げのタイミング、3月春闘後の中小企業を含めた賃上げ動向も見極めたいところだ。

最後に、投資先企業の業績予想をしっかり見極めることが最重要なことは当然として、2024年は災害(地震などの天変地異)や地政学リスクにも引き続き注意したい。

特にアメリカでは11月5日に大統領選挙が控えており、年後半に向けては波乱も予想される。同国経済はソフトランディング(軟着陸)の可能性があるいっぽうで、景気後退リスクもなおくすぶっている。

仮に、同国企業の業績が極度に悪化するというリスクシナリオが実現すれば、影響を受けやすい日本株は「日経平均で3万5500円を下回る場面もある」と、頭の片隅に入れておきたい。年後半からは時間と資金に余裕をもたせた、意味のある分散投資と押し目買い(急落時の底値買い)が有効になるかもしれない。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「日経ニュースプラス9」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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