日経平均が再び4万1000円を超えたらどうするか 4月から年末までの「日本株投資戦略」を考える

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今回、日銀の3月会合でのマイナス金利解消の決め手になったとみられるのが、「春闘」の結果だった。日本労働組合総連合会(連合)は15日、2024年の春季生活闘争(春闘)の第1回回答の集計結果を公表した(第2回集計は3月22日公表済、第3回は4月4日公表予定)。基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率は平均5.28%となった。

これは前年の同時点(3.80%)から1.48ポイントも上昇した(第2回の結果は同賃上げ率は平均5.25%。やはり前年の同時点(3.76%)から1.49%ポイント上昇)。過去の最終集計と比較すると、 5%を超えたのは、5.66%となった1991年以来33年ぶりだ。人手不足を背景に中小企業の賃上げ率も4.42%に達している。

日銀の追加利上げはいつか

今後の重要ポイントは、日銀の追加利上げのタイミングがいつになるかだ。もし追加利上げの時期がみえてくると、円高が進行すると見ている。個人的には6〜9月のどこかで0.25%の利上げを予想している。利上げのたびに出てくる雑音を排除するためにも利上げ回数は少ないほうがいいとの考えから、年内は1回にするとの見方だ。ちなみに私が在籍しているピクテでは7月0.1%、12月0.15%を予想している。

4月から9月までの追加利上げの可能性を見ていこう。次回の金融政策決定会合(4月25~26日)は、可能性は低いとみる。6月会合(13~14日)では恐らく他国が利下げを開始する中で、利上げはやりにくいはずだ。 ただし、日銀も「データ次第」と言っている以上、現時点では、データが思ったよりも改善(物価指数が上昇かつ持続性も認められる)した場合という、想定外の事態に至ったときのみ、可能性が高まる程度ではないか。

その後の7月から9月には可能性が高くなると見ている。なぜなら①実質賃金のプラスが明確となる、 ②現在マイナスの需給ギャップが恐らくプラスに転じる(これは利上げのリスクシナリオ)、 ③上記①と②によってデフレ脱却宣言が7月から9月の間に行われる、 ④インフレ率は2%前後で推移、 ⑤サービス価格は現在の前年比+2.2%程度で推移、などの前提条件が発現することが考えられるからだ。

なお、衆議院解散に伴う総選挙は、極端に言えば、岸田文雄首相の訪米(4月10日)終了後、9月30日の自民党総裁任期満了までなら、いつでも解散の可能性があるようだ。すでにマイナス金利は解除されているので、政府が利上げを「デフレ脱却の成果」と宣伝できるなら、追加利上げの日程については比較的自由度が高くなるのではないだろうか。

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