セブン、「400円以下」弁当の拡充が意味する課題 客数の戻りが緩慢、「フェア」依存にも限界

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客数は各チェーンに対する消費者の支持の表れであり、人気のバロメーターといえる。節約志向が高まれば、低価格業態にお客は流れる。コンビニはスーパーやドラッグストアに比べて特売品が少なく、価格帯の高いイメージがある。それがコンビニの客離れにつながっている可能性がある。

グラフからもう1つ読み取れるのが、コンビニ3社の中でセブンの回復が鈍化していることだ。2022年度はファミリーマートとセブンの回復率に大きな差は見られなかった。しかし2023年度に入るとセブンは横ばいが続き、ほとんどの月でファミマを下回った。2023年秋以降は、ローソンを下回ることも多くなっている。

「フェア」の下支えにも限界

要因として考えられるのが、販促方法の違いだ。

コロナ禍以降、セブンが強化したのが「フェア」だった。「沖縄フェア」「韓国フェア」「中華フェア」など、テーマ性を持った新商品群を期間限定で投入、需要喚起を図った。

フェアの販売は総じて好調だった。外出自粛ムードの長期化で、日常の中での「プチ贅沢」を求める消費者心理をとらえたのだろう。2023年上期(3~8月期)にセブンの平均日販(1店舗あたり平均日商)が初めて70万円を突破したのも、このフェアの貢献が大きい。

ただ、名店や産地の名を冠するフェアでは、原材料や製法にこだわるため、おのずと一品単価は高くなりがちだ。フェアの好調は、一品単価の上昇に支えられていた面があった。

他方、競合2社はセブンよりも価格志向のキャンペーンが目立った。ファミマは2021年度から弁当や総菜類などの人気商品を値段はそのまま、内容量を大幅に増やすキャンペーンを定期的に実施。ローソンも同様の販促のほか、昨年9月にはカツ丼といった弁当など主要6品目の値下げを実施し、節約志向を強める顧客に経済性を訴求してきた。

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