セブン社長が語った同門のヨーカ堂を頼る事情 脱「画一化した店舗」進めて再成長に活路

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全7回の特集『コンビニ 再成長への岐路』の第5回。コンビニ業界トップをひた走るセブン‐イレブンだが、国内での成長には陰りが見えている。

セブンの永松社長
「ヨーカ堂は商品の幅が広いので、そうしたノウハウをセブンに取り入れていく」と話す永松社長(撮影:尾形文繁)

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2022年10月に同じセブン&アイ・ホールディングスに所属するイトーヨーカ堂と、新たな協力関係の枠組みであるSIP(セブン‐イレブン・ジャパン・イトーヨーカ堂・パートナーシップ)を立ち上げた。協業の範囲は、商品やサービスの共通化、販売促進策の共同実施など多方面に及ぶ。
コロナ禍による需要変化への対応が遅れたことでプライベートブランド「セブンプレミアム」の売り上げが鈍化するなど、コンビニの事業環境は厳しい。今後の再成長をどう描くのか。セブン‐イレブン・ジャパンの永松文彦社長に話を聞いた。

 

――なぜいま、イトーヨーカ堂との関係を強化するのですか。

コロナ禍で生活様式は変わった。セブン‐イレブンはこれまで通勤通学の途中や行楽の行き帰り、人が動くときに活用されてきた。人の流れが制限される中で目的を持ってお店に来てもらう必要が出てきた。

品ぞろえも変わる。外で食べるものよりも自宅で食べるもの、使うものが必要になった。そうした商品はヨーカ堂が得意。さらにコロナに加えてインフレも始まった。価格も重視されるようになってきた中でSIPという枠組みを作ろうとなった。

画一化した店舗の時代ではなくなった

セブンは(弁当など調理済みの商品を持ち帰って食べる)中食が強いので、カレーフェアのような中食のフェアを一緒にやったり、ノウハウをヨーカ堂に入れたりする。一緒にやれば相乗効果も出る。セブンのアプリ会員は今、1900万人いて日々会員数が増えている。

同じキャンペーンをやることで、セブンの会員からヨーカ堂のアプリ会員にもなってもらえて、ヨーカ堂の会員の増加ペースは従来の2倍程度になっている。ヨーカ堂は商品の幅が広いので、そうしたノウハウをセブンに取り入れていく。

――物言う株主からヨーカ堂を外部に売却するよう提案を受けている中、SIPはヨーカ堂を売らないための口実にも見えます。

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