衰退の危機「喜多方ラーメン」復活を狙う男の正体 3000円ラーメンに苦情殺到も…町の再生に奔走

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こうして開発したのが「山葵塩そば」だ。喜多方ラーメンらしい豚ベースのスープと極太の多加水麺に、シジミの旨味溢れる塩ダレを合わせた逸品。これがとても上品で美味しい。

食べ進めていくうちに白髪ネギの上に載る山葵が少しずつスープに溶け出して美味しい。バラ肉のチャーシューは喜多方ラーメンならではだ。

歴史と伝統に向き合った結果、至極の一杯となった(筆者撮影)

「ご当地ラーメンとは、100年続く『ホッとするラーメン』であるべきだと思っています。決して東京のラーメンのように濃厚にする必要はありません。大事なのは軸を持つこと。“喜多方ラーメン”という軸の中で味を磨いていくことが大事です」(江花さん)

喜多方ラーメンの歴史を無視して作ってしまった、かつての失敗は、ここでしっかりと活きたわけだ。

店を続けることは「自分のラーメン」を見つける旅

3000円ラーメン「SUGOI」。喜多方ラーメンに真面目に向き合ってきた、江花さんだからこそ生み出せた一杯だ(筆者撮影)

今年から「あじ庵食堂」で提供している、極上の喜多方ラーメン「SUGOI」もまさに“喜多方ラーメン”という軸の中で磨き上げた逸品だ。

喜多方ラーメンの豚のスープをベースに、小麦「夏黄金」「ゆきちから」で作った特製麺、会津牛チャーシュー、会津牛ワンタン、ナルト、ノリを合わせる。別添で会津牛そぼろ、地元産の春菊のおひたし、白髪ネギが付く。これが会津漆器と喜多方ラーメン箸で提供される。

喜多方ラーメン箸は、持ち帰ることができる。「1杯3000円」と言いつつ、満足感を考えると決して割高ではない(筆者撮影)
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