物流24年問題、スーパーのライバル間で進む協業 九州では共配、首都圏では消費期限ルール緩和

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イオン直方店では競合のスーパー、トライアルの車両で一部の商品を配送する(写真:イオン九州)

ライバル同士の協業は実を結ぶのかーー。

物流2024年問題を控え、小売り各社は対応を迫られている。2024年問題とは、今年4月から「働き方改革関連法」の残業時間規制強化がトラックドライバーにも適用されることで、荷物の未配や遅配、運賃高騰などが懸念されている問題だ。

食品小売業は生鮮品や日配品など消費期限の短い商材を扱うため、高頻度の配送が必要だ。中でも品目数や物量が多い食品スーパーへの影響は甚大で、あるスーパーの物流担当者は「このままでは来期末(2025年始ごろ)には、トラックが手配できず店舗に商品が届かない、といったことが起こるかもしれない」と危機感をあらわにする。

「Xデー」が近づきつつある中、近年、各地域では競合であるはずのスーパー同士が手を取り合い、情報交換や協業を進める「物流研究会」が立ち上がってきた。2022年8月の九州地方を皮切りに、2023年3月には首都圏、5月には北海道と立て続けに生まれており、発足後も各研究会は加盟社を増やしている。

トライアルの車両でイオン店舗に配送

九州の研究会発足のきっかけはイオン九州とトライアルホールディングス(HD)のトップ同士の会談だった。現在は西友のほか、西鉄ストアやサンリブなどの地場チェーンが数社加盟し、協業が進められている。

好例は「イオン直方店」と「トライアル那珂川店」だ。福岡県内の両店はそれぞれの物流拠点と距離があり、商品配送後に店舗から物流拠点へトラックを戻す「空車回送」の距離が長いことが課題だった。

そこで両社はトライアルのトラックがトライアル那珂川店への配送を終えた後、そのまま拠点に戻るのではなく、那珂川店の近くにあるイオンの物流拠点で荷物を積み込み、イオン直方店に配送することにした。このルート変更により、2社がそれぞれ自前配送をしたときよりも1日のドライバーの作業時間を1時間、走行距離を30キロ削減できるという。

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