「餃子の王将」20カ月連続売り上げ更新の理由 「個店の味からチェーンの味へ」変貌を遂げた

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同じ企業による過去の調査を見ると、餃子の王将の口コミが増え始めたのは2018年頃からのようだ。

餃子の王将に何が起こっているのだろうか。王将フードサービスに取材した。

餃子の王将は全国に729店舗(2024年1月時点)と、中華料理のチェーンとしては最大規模。うち直営店が543店舗と、直営店の多いチェーンである。ちなみに直営店の数は、冒頭に挙げたチェーンでは、大阪王将(直営43/FC298(2024年1月時点))、餃子の満洲(直営102(2023年11月時点)、肉汁餃子のダンダダン(直営99/FC34(2023年12月時点))、紅虎餃子房(直営61/FC6)などとなっている。

ジョイ・ナーホ練馬高野台駅前店の店内。「五感に訴える店舗」をコンセプトに、客席から厨房内が見渡せるよう作られているのが特徴。ランチやディナーの時間帯は近隣住民で賑わうほか、テイクアウトや宅配の注文も多いそうだ(撮影:梅谷秀司)

日に約200万個売れる餃子

「当社の餃子は2019年より確実においしくなっている」とは、王将フードサービス代表取締役社長渡邊直人氏の言。

餃子は同社メニューの中でももっとも売り上げが大きい看板商品で、日に約200万個が売れるという。なお、同社の一番のこだわりが鮮度。冷凍はせず、毎日、その日に作った餃子が各店舗にチルド配送されている。

同社の餃子の大きな特徴は、にんにくたっぷりで、ガツンとした味わい。皮はどちらかと言えばもちもち系で、食べ応えがある。にんにくは名産地の青森産とのことで、ひときわ香りが豊かに感じられるのはそのためかもしれない。

渡邊氏の肝煎りで、焼き餃子に並ぶ、新たな看板商品も開発したという。
「忘れられない中華そば」(748円)だ。

渡邊氏のアイデアで開発された「忘れられない中華そば」(748円)。昭和世代にとっての「懐かしいラーメン」の姿を再現しつつ、若い世代にもアピールする味わいを追求(撮影:梅谷秀司)

あっさりとした魚介スープながら、コクがある。チャーシュー、メンマ、なるとが添えられた昔ながらのシンプルなラーメンなのだが、よく見るとチャーシューが炭火焼きで贅沢さを感じさせる。

「ここしばらく、豚骨スープの濃厚なラーメンのトレンドが続いていた。当社の定番も豚骨スープだ。しかし1955年生まれの私にとって、青春時代と切り離せない『ラーメン』と言えばしょうゆ出汁のシンプルなラーメンだ。40〜60代であればそう感じる人は多いだろう。なおかつ、『ネオ昭和』流行の時代、若い人にもおいしく感じられる味を目指した」(渡邊氏)

この「昔懐かしさ」でミドル世代、若者両者に訴求を狙ったラーメン、2023年4月1日から全国で販売スタートし、11月末時点で累計300万杯を売り上げた。

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