正念場のゴルフ場経営、拡大戦略貫くアコーディア、PGMはコスト削減を優先

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勘や経験頼みをやめシステム化で安値販売減

これまでゴルフ場業界は、勘や経験など人的資源に依存しすぎてきた。その反省から、両社では今、システム化加速の動きが出ている。

アコーディアではゴルフ場来場者の需要予測のシステム化を考えている。人の経験などに頼って行う、プレーフィーなど客単価の安値販売を減らすのが狙いだ。それにはファンの囲い込み状況や需要動向を事前に把握・分析するシステムソフトが必要。今秋からトライアル&エラーに踏み出す。その一方で「プレー枠を埋めるために安売りするやり方はやめる踏ん張りも必要」と、竹生社長は業界慣習へアンチテーゼを投げかける。

PGMはゴルフ場への来場頻度に応じたロイヤルティレベル(ステータス)の設定などを盛り込んだシステムを構築し、7月以降の下期から稼働させる計画だ。来場頻度の高い顧客へのサービス向上策を全国で実施していくという。将来的にはビジターなどに対してもスコアを管理し、コース全体のプレー枠運営に役立てたい考えもあるようだ。

さらに財務面での課題も小さくはない。PGMは3月末現在406億円の会員預託金を抱え、この償還が課題。同社では名義変更料に預託金を充当できるプランをスタート。名義変更で休眠会員からアクティブ会員へ切り換えるとともに、預託金の減額も図れる施策に注力している。

アコーディアは、今年11月に214億円の社債の償還期を迎える。借り換え償還を目指しているが、200億円のコミットメントラインを償還に充てる選択もあり、資金面での問題はないという。

2大ゴルフ場運営会社にとって、外資仕込みのドラスティックさで「再生」する時期は終わった。これからは新たな成長ストーリーを描いていく「創生」の時代に入る。次の10年で両社に問われているのは、多様化する顧客特性に見合った、付加価値が感じられるゴルフ場造りだ。

(週刊東洋経済2011年6月25日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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