AIIB、中国に拒否権があるなら参加は困難だ

自民党の秋葉賢也外交部会長に聞く

 6月5日、自民党の秋葉賢也・外交部会長は、ロイターのインタビューで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、中国が拒否権をもつ状態で参加することは120%あり得ないとの認識を示した。写真は、AIIB設立調印式、2014年10月撮影(2015年 ロイター/Takaki Yajima)

[東京 5日 ロイター] - 自民党の秋葉賢也・外交部会長は5日、ロイターのインタビューで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、中国が拒否権をもつ状態で参加することは120%あり得ないとの認識を示した。

秋葉氏は「日本政府また自民党が一番懸念しているのは、公正なガバナンスと債務の持続可能性だ」とし、「設立準備会合を聞いている限り、当面は参加できないだろう」と見通した。

設立準備会合で固まった概要は、設立当初の資本金は1000億ドル。中国が最大の29%程度を出資し、重要案件では中国が反対すれば決められない「拒否権」ももつとみられている。融資案件を最終決定する理事会は設置するが、本部に常設しない方針。

常設の理事会でなければ運営のチェック体制が希薄になり、中国の国益に乱用される融資となるリスクが残ると懸念されている。

秋葉氏はこうした懸念が解消されない限り、状況を見極めていく必要があると繰り返し、なかでも「日本としては、少なくとも中国が拒否権をもっているような状態では参加することは120%あり得ない」と語った。

一方で、日本が参加しないことによる唯一のデメリットがあるとすれば、「アジアの他の国が日本に対してどう思うかだ。アジアの他の国の立場にたってみれば、日本に入ってもらったほうが金利も安くなるし、変な融資にもならないと思うだろう」とも述べ、「フリーハンドとして残しておく必要がある」と語った。

当面はアジア開発銀行(ADB)との協調融資などを通じて外から働きかける。「融資案件を厳選し露骨な中国への利益誘導につながるような融資はしない。協調融資を通じてノウハウを学んでもらう」ことは可能と指摘。年末に形式的には立ち上がったとしても、人材を集め、融資案件を決めていく運営はかなりの困難を要する。「実際の融資実行は2年くらい先になるのではないか」と見通し、焦る必要はないとの認識をにじませた。

自民党は外交部会や財務金融部会などの合同部会でAIIBに対する政府方針について、参加判断を明確にせず、慎重な対応を求めるとする報告書をまとめ、安倍晋三首相に提言した。

秋葉氏によると、合同部会では35人中、「是非参加すべき」と明言した議員は3人のみで、全体の8割が慎重意見だったとし、報告書では今後の状況を慎重に見極めるべきとの立場を強調。安倍首相からは、参加の是非に関する言及はなかったとした。

 

 

(吉川裕子)

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