日本人の「お金さえあれば大丈夫」信仰が危険な訳 田内学×銅冶勇人「お金か仲間か」対談【前編】

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お金を持つ男性
「お金があればなんとかなる」――その発想が、かえって「お金の苦労」を生んでいるのかもしれません(画像:polkadot/PIXTA)
元ゴールドマン・サックスのトレーダー、田内学氏の小説『きみのお金は誰のため』は、発売1カ月半で10万部を突破するなど、いま話題の1冊だ。
去る11月30日、本書の刊行を記念したトークイベントがジュンク堂書店 池袋本店で開催された。対談相手は、元ゴールドマン・サックスの営業マンで、現在はアパレルブランド「CLOUDY」の経営者をつとめ、アフリカ支援にも熱心に取り組んでいる銅冶勇人さん。『きみのお金は誰のため』に登場するキャラクターのモデルの1人でもある。
オンラインを含め200人を超える聴衆が集まり、大いに盛り上がりを見せたトークイベントをダイジェストでお送りする。

「一度は面接で落としました(笑)」

田内学(以下、田内):みなさんこんばんは。田内学です。こちらが、今日の対談相手の銅冶勇人(どうや・ゆうと)さん。ゴールドマン・サックス時代の後輩ですね。僕が2003年入社で、銅冶さんは2008年入社。後輩ですが、本に登場してもらうほどの仲になりました。

『きみのお金は誰のため──ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』は、発売1カ月半で10万部のベストセラーになっている。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

同じく元同僚の女性に本を読んでもらったいちばん初めの言葉が「田内さんって、本当に銅冶のこと好きですよね」って感想でした。はじめに銅冶さんに自己紹介してもらいますね。

銅冶勇人(以下、銅冶):改めまして銅冶と申します。今「CLOUDY」というアパレルブランドを展開し、アフリカをフィールドに活動中です。

アフリカに雇用を生むために、営利と非営利のアクションを循環させながら、工場を建てて雇用をつくったり、学校運営を支援したりしています。

田内:僕は採用担当もしていたので、今まで面接で1000人以上に会ってきたんですけれど、銅冶さんが一番印象的だったんです。

銅冶:見た目ですか?

田内:違いますよ。面接のとき、「サイコロを2個振ったときに、一番出やすい数は?」という統計の問題を出したんです。それに「12です」って答えたのが、銅冶さんで。

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