「中古品市場」から透けて見える日本経済の苦しみ 各家庭の"不要品"、メルカリ売れ筋から見えること

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ただし、2023年のリユース市場はここ数年と比べてやや変化が起きてきそうだ。言わずもがな、新型コロナによる行動制限が解除され、人々は自宅周辺からどんどん外に向かっている。今年はクリスマスや忘年会といった人が集まるイベントも解禁され、またウィンタースポーツに出かける機会も増えてくる。イベント用の洋服やシューズ、スポーツ用品、防寒ウェアなどの需要が増えていくだろう。

本来はこうした季節商材はシーズン最盛期より早めが売り時と言われるが、最近急激に寒くなった今年は冬物の出足も遅れ気味だったので、売りたい人はすぐにでも動くべきだ。

なお、ブランド質屋では、宝飾品や貴金属が最も売れるのはクリスマス前との話も聞いたことがある。わが家のかくれ資産をお金に替えたいなら急いだほうがいい。

骨董品やアンティークにも円安の影が

同じ中古市場でも別の意味で活況を呈しているのが、いわゆる蚤の市や骨董市だ。ここでは古物を扱う業者が出店している。店舗は持たず、こうした各地の骨董市への出店あるいはネット販売のみという個人の店主が目立つ。

販売されている中には、終活や実家じまいで引き取られた生活道具や骨董品なども多い。昭和レトロともいうべき懐かしいおもちゃなども見かける。これらを買っていたのがモノを持つのが豊かさの象徴だった昭和世代だとすると、こうした“遺産”が市場に出ていく現象は、この先はかなり減っていくかもしれない。

古いものを手放す人が高齢なら、買う側のコレクターも高齢化している。さらに言えば、品物を並べる店主もだ。そのため、今はともかく、市場がこれ以上広がりにくい印象がある。店主たちからは、「自分が引退するまでに、手元の品を全部売り切ることはできないだろう」という声もちょくちょく聞いた。とはいえ、投げ売りのような大幅な値引きはしにくい。その品の買い取り価格に対して一定の利益を出さなくてはいけないからだ。

円安の影響もある。いわゆる「買い負け」の話もたびたび聞く。海外のアンティーク品を仕入れたくても、円が弱いため他国のバイヤーに歯が立たないという。金や銀の値上がりも激しかったため、アンティークのジュエリーや銀製品もまったく買えないとの嘆きもある。

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