「中古品市場」から透けて見える日本経済の苦しみ 各家庭の"不要品"、メルカリ売れ筋から見えること

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この調査は2018年から数えて3回目だが、第1回が約37兆円、第2回が約44兆円、そして今回は約67兆円と、総額は年々増えている。総額が増えたのは、まず所有するモノの数が増えたことが理由。これにはコロナ禍で外出より家ナカ消費、つまり家で過ごすための買い物が増えたこともありそうだ。

また、1次流通品の値上がりが中古品の取引価格を押し上げているとの分析もあり、もともと手に入れた時の金額が高ければ、それにつれてリユース品の値付けも上がっていくという構造による。

物価高が中古高額品の取引を活発化させる面もある。例えば季節家電。リサイクルショップで聞いた話では、中古家電の人気はこのところ高いという。半導体不足などもあり新品の価格は高止まりで、購入を躊躇する人たちが中古家電に目を向けるのだとか。

ショップが検品して一定期間の動作保証をして販売してくれるから安心ということもあるだろう。とはいえ店頭に並ぶ中古家電の数は限られており、需要が供給を上回れば価格も落ちないわけだ。お手頃だった中古市場にもじわじわ値上げの波が押し寄せつつある。

むろん、物価高の影響はそれだけではない。メルカリの同調査で直近1年間の各種リユースサービスを活用した買い物頻度について質問したところ、8%が「とても増えた」、約17%が「やや増えた」と回答し、合わせて約25%が「増えた」と回答したとある。ついで、所有物を売る頻度の変化についても、約7%が「とても増えた」、約16%が「やや増えた」と回答し、合わせて23%が「増えた」と回答している。

不要なモノを別の人の手に渡し、捨てることなく次の使用につなげていく行為は、美しく望ましい循環社会だが、ありていに言えば“新品に使うお金がない”のも現実なのだろう。

コロナ禍明けで、売れるモノにも変化が

メルカリで売れ筋と言われるアイテムは、わりと普通のモノばかりである。

最も売買されているのはトップス、ボトムス、靴、カバンなどを含む服飾雑貨だが、取引ランキングのトップに来るブランドはハイブランドではなくユニクロだ。それだけ新品で買われている量が多いともいえるし、幅広く着られているからこそ“中古を買っても失敗しない”ブランドなのだろう。

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