「待ち時間が長い」薬不足がもたらす薬局での支障 薬剤師が解説「今こそ薬に頼らない感染対策を」

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プロトコール導入後には、電話対応にかかる時間が1件あたり平均2.1分間短縮され、さらに疑義照会の完了までの時間が運用前の最大50分間から、運用後はすべて10分以内に短縮されたと報告しています。

患者にとってのメリットは、待ち時間の短縮だけではないかもしれません。最近、患者自らがすべての薬がそろう薬局を探し求めて渡り歩くケースがあると聞きます。

現在、咳止めの薬は軒並み品薄のため、茨城県の病院で導入したようなプロトコールを活用している地域でも薬難民になるかもしれませんが、薬局では在庫のある類似薬を出すことができますから、いつもの薬局で薬をもらえる可能性は高くなるかもしれません。

水さんによると、PBPMで咳止めや痰切りの薬を融通するプログラムを実践しているのはまだ珍しいそうです。しかし、今後こうした取り組みが広がれば、薬不足のさなかでも、薬局の在庫状況にあわせていつもの薬局で薬を受け取り、待ち時間の負担を軽くすることができるようになるかもしれません。

薬不足はまだ続きそうです。薬不足による影響を避けるためにできる対策は、病院にかかる機会を極力減らすことです。

現在、インフルエンザが猛威を振るっていますから、まずはインフルエンザへの対策を見直しておきましょう。

インフルエンザはくしゃみや咳と一緒に放出されたウイルスを吸い込むことで起こる「飛沫感染」か、ウイルスが付着したドアノブ、つり革、手すりなどを触った手で目、鼻、口などに触れて粘膜に通じて起こる「接触感染」で感染します。

予防のポイントは3つあります。「正しく手洗いをする」「適度な湿度を保つ」「体調管理」です。それぞれ見ていきます。

これから行いたい感染対策

1 正しい手洗いをする

ウイルスが体の中に入ってくるのを防ぐため、外出先から戻ったときや食事前などは流水、石けんによる手洗いをして、ウイルスを物理的に除去しましょう。

「正しい手洗い」を覚えていますか? 新型コロナが落ち着き、なんとなく洗った気分になる「なんちゃって手洗い」になっているかもしれません。この機会に改めて正しい手洗いを見直しておきましょう(正しい手の洗い方については記事の最後にご紹介します)。

水道が近くにない場合は、アルコール製剤で手指消毒を行います。

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