口永良部島噴火、なぜ予知できなかったのか

火山列島ニッポンに必要な「戦略」

戦後最大の被害を出した昨年の御嶽山噴火に続き、今年は蔵王山や箱根山などにも噴火の可能性が示される「火山列島」に、一層の戦略が求められている。(写真:毎日新聞社/アフロ)

鹿児島県の口永良部島で5月29日、爆発的な噴火があった。人的被害はけが人1人にとどまっているが、地元の屋久島町は住民の全島避難を指示、気象庁は噴火警戒レベルを運用後初の「5」まで引き上げ、最大級の警戒を呼び掛ける。戦後最大の被害を出した昨年の御嶽山噴火に続き、今年は蔵王山や箱根山などにも噴火の可能性が示される「火山列島」に、一層の戦略が求められている。

直前予知の難しさ

口永良部島は同じ鹿児島県の桜島を中心とした九州、南西諸島の活動的な火山群の一つに数えられる。

その形は直径3キロメートルほどの島の北西側に、一回り小さな島がくっついているように見える。小さな方が古い火山体で、大きな方が新しく、今回噴火した「新岳」を含む活火山エリアだ。

1933(昭和8)年や1966(昭和41)年に大規模な噴火を観測。1980年代以降は小康状態だったが、京都大学防災研究所の井口正人教授によれば、1999年ごろからマグマの上昇を推定させる地下の温度変化などが観測されていた。火山性地震は2006年や2012年には400回を超える月も。それでも警報を出すに至る変化とは認められないまま、2014年8月3日の噴火が発生した。

井口教授は「15年間にわたる長期の準備過程があった。しかし火口が隆起するような明らかな兆候は、噴火の1時間前ぐらいからしか分からなかった」と、昨年10月に名古屋大学であった研究集会で報告していた。

昨年の噴火以降は火山ガスの放出量が多い状態が続き、今年3月には赤熱した溶岩や高温のガスが噴煙などに映って明るく見える「火映」を観測。5月に入ると震度3の有感地震が発生するなど明らかな変化はあり、警戒が強められていた。

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