過小評価は禁物、「長野県北部地震」の衝撃度 名古屋大学の鈴木康弘教授に聞く

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11月下旬に発生した、長野県北部の地震は最大震度6弱と発表され、死者もゼロだったことから報道もやがて落ち着いた。しかし、揺れによる局地的な被害は激しく、「震度7はあった」と指摘するのは、活断層の専門家として現地を調査した名古屋大学減災連携研究センターの鈴木康弘教授だ。原発の安全性調査にもかかわる鈴木教授は、この地震の教訓を過小評価すべきでないと訴える(写真は2014年11月22日夜に発生した、長野県北部地震の被害状況/写真提供:鈴木康弘教授)。

「震度7はあった」。過小評価すべきでない

 ――今回の断層はいつごろから知られていたのか。

 糸魚川-静岡構造線断層帯(糸静線)は1970年代には活断層だと広く認識され、その一部である今回の神城断層の存在も1980年代にはほぼわかっていた。糸静線は、長野県北部から松本市を経て山梨県甲府市と県南部にまで続く長大な断層。それが千年に一度は大きく活動する、活動度の高い断層と見られていた。

2014年11月22日夜に発生した、長野県北部地震の被害状況(写真提供:鈴木康弘教授)

阪神・淡路大震災翌年の1996年には、国の地震調査研究推進本部(地震本部)が、主要活断層の長期評価の第一弾として、糸静線に地震活動の危険性が迫っているとの評価結果を出していた。

――今回の地震の特徴は?

典型的な逆断層型の地震で、震源断層面が浅い位置にあり、地面まで到達した。それによって断層のずれ上がった側で、局地的に極めて大きな揺れが生じた。全壊した建物の9割が集中した白馬村の中でも、堀ノ内地区が建物の壊れ具合や、墓石の倒れ方が尋常ではなかった。

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