川内原発再稼働へ、募る地元の不安と疑念

九電はこれまでに進めた安全対策を誇示

使用済み燃料プールに新設された水位計を指し示す九州電力関係者(撮影:尾形文繁)

九州電力・川内(せんだい)原子力発電所1号機の原子力規制委員会による使用前検査が、3月30日に始まった。九電は7月上旬の原子炉起動と8月中旬からの営業運転を想定。そのとおり進めば、新規制基準による適合性審査を経た原発の、再稼働第1号となる見込みだ。九電は、2号機についても、早期の工事計画認可、検査開始を経て、8月中の起動を目指している。

だが、「不具合が見つかれば、工事をやり直す可能性があり、検査が長期化する場合も想定される」(原子力規制庁の担当者)。1号機との共用設備があるため、2号機の手続きの進み具合によっては1号機の再稼働が遅れる可能性もある。

非常時を含め、原子炉や核燃料の取り扱い手順を定めた保安規定の認可もまだ下りていない。それがないと起動はできない。火山対策において九電は、巨大噴火の予兆をとらえて、核燃料を搬出するとしているが、その方法や搬出先は不明のままだ。

原発事故を防ぐ安全対策ができたと誇示するが

使用前検査直前の3月26日、九電は重大事故に備えた安全対策や訓練を報道陣に公開した。原子炉建屋内まで見せるのは初めてのことだ。

1号機の巨大な格納容器に入り上部に登ると、炉心を納めた圧力容器を見下ろせる。福島第一原発事故のような炉心溶融で発生する水素の爆発を防ぐため、水素の濃度を低減する燃焼装置や再結合装置を新設したと九電関係者は説明する。

使用済み燃料を保管する建屋では、燃料プールを監視するために新設された水位計やカメラが公開された。非常時に外部からプールへ給水する配管も新設したという。どこよりも安全が求められる原発で、こうした機器がなかった事実のほうが信じられない。

中央制御室を模した訓練センターでは、全電源喪失を想定した訓練が公開された。「震度6強の地震、5メートルの津波、震度5弱の余震」を受け、けたたましく警報が鳴り響く中、「川内1号機は全電源喪失対応に移行!」と現場指令者が号令。係員が主蒸気逃がし弁を手動で開けて原子炉の温度を下げ、新設した空冷式の大容量発電機を起動して炉心溶融を回避するという設定だ。

また、海側屋外のポンプ車から海水を格納容器に供給し、冷却する訓練なども公開された。どの訓練もそれなりの緊張感を持ってスムーズに実施されたが、再認識させられるのは「過酷事故への対応力は設備だけではなく、現場の人間の行動によって左右される」ということだ。火力発電所とは比べものにならない原発の災害拡大リスクがそこに潜む。

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