「デフレ完全脱却」の政策はデフレマインド丸出し 需要刺激の大型補正予算をコロナモードで賄う

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日本銀行が国債を大量に買い入れるとしても、日本銀行の直接引き受けは財政法第5条で原則禁止されており、まずは民間金融機関が国債を購入してくれなければならない。

民間金融機関が欲してもいないのに無理に国債を大量に発行しようとすれば、買い手がつかず国債価格を下げる、つまり国債金利(利回り)を上げなければ消化しきれない。だから、無理に大量の国債を市中消化しようとすれば、国債金利が急騰する可能性がある。

そこで、コロナ禍での巨額の補正予算において一般会計での国債増発は、どのように工面されたか。

コロナ対応の財投債を補正予算に充ててきた

それは、財投債(財政投融資特別会計国債)で発行予定だった国債を、一般会計での国債に振り替えたのである。

財投債は、一般会計ではなく、財政投融資特別会計で必要とする融資の原資とするために発行される。特にコロナ禍では、民間企業の資金繰り支援の要請があり、それを政策金融機関等を通じて行うための原資を、財投債で賄うこととしていた。

コロナ禍では、当初予算において、資金繰り支援の融資枠が不足して支援が滞ることがないようにするため、多めに資金繰り支援の融資枠を確保していた。だから、それだけ多く財投債を発行する必要があるとして、その見込みを踏まえて国債発行計画を策定した。

国債市場においては、日本国債は、一般会計の建設国債や赤字国債も、財投債も、同一券面で取引されるから、金融機関側にとっては両者に区別はない。

ところが、年度途中になると、新型コロナの感染状況も経済取引に制約がかかるほどひどくなく、当初見込んでいたほどに資金繰り支援の融資枠は必要ないという見通しが立ってくる。

そうしたところに、永田町から巨額の補正予算の要求が上がってくる。その歳出をこなすには、一般会計で国債を追加発行しなければ賄えない。

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