「デフレ完全脱却」の政策はデフレマインド丸出し 需要刺激の大型補正予算をコロナモードで賄う

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正常化への道のりはまだ遠いというのは、国債発行についてもいえる。

2023年度補正予算は、一般会計で8兆8750億円も国債を増発して歳出追加額を賄うこととしている。一般会計では、当初予算で国債を35兆6230億円発行することとしていたから、この国債増発を合わせると、2023年度は国債を44兆4980億円発行することとなった。

一般会計の歳出総額は、当初予算で114兆3812億円だったが、補正予算での歳出追加額が13兆1992億円となったので、これらを合わせると127兆5804兆円となる。その歳出総額を、前掲の国債発行で賄うこととなるから、その比率を意味する公債依存度は、34.9%となる。

2022年度の決算での公債依存度は、38.1%だから、それよりは下がるとはいえ、依然として3分の1を超える歳出を国債発行で賄う状況である。

年度途中で国債を大量発行すれば買い手がつかない

加えて、その補正予算における国債発行の賄われ方もコロナ禍から脱していない。

国債発行は、国債市場において民間金融機関に円滑に消化してもらうべく、予見可能な形で発行年限(満期までの年数)や発行額やスケジュールを事前に公表している。それを取りまとめているのが国債発行計画である。

国債発行計画をみると、コロナ禍で補正予算時の一般会計での国債増発をいかに腐心しているかがわかる。

前述のように、前代未聞の規模の巨額の補正予算で国債を大量増発すると、年度途中で国債発行計画を大幅改定しなければならない。年度途中で、当初の予定よりもはるかに多い国債を市中で消化しようとすれば、それに応じてくれる民間金融機関がいなければ、円滑に消化できない。

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