「ぎょうざの満洲」小規模なのに根強い人気のワケ 餃子の特徴は「毎日でも食べられる家庭的な味」

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オレンジゼリーと豆乳杏仁プリン(各140円)。保存量不使用とのことで、素材のおいしさのみのかえってぜいたくな味わいだ(撮影:風間仁一郎)

年に2店舗出店する微増のペースをたどっており、そのペースはコロナ禍も変わらなかった。なぜか地主から直接声がかかって行うことが多く、提示された場所が条件に合っていれば出店しているとのこと。条件とは前述の、工場からの配送時間と、表通りに面した路面店であること。家庭の食卓の延長として気軽に入れることを重視しているからだ。

全国から注文が寄せられるECの冷凍餃子

業績は前年対比114%、2019年比で111%。コロナ中は時短要請のあった時期に1割落ちたぐらいで、餃子の生産量は変わらなかったという。その理由は、店舗やECで販売している冷凍餃子や生餃子(消費期限が1日なので店舗のみ)が売れたためと、もともと物販が売り上げ全体の4割を占めていたのが、コロナ中は6割までアップしたため。

ぎょうざの満洲代表取締役社長の池野谷ひろみ氏。父が創業した同社の社長に1998年、就任(撮影:風間仁一郎)

なお、ECの冷凍餃子は全国から注文が寄せられるという。

「贈答でもらった方が、今度は自分で注文するケースも多いようです。またふるさと納税の返礼品としてもご利用いただいています」(池野谷社長)

EC商品の価格を見ると、12個入り×6パックが送料込みで2850円(沖縄は+910円)で、1人前に換算すると230〜240円と、スーパーの冷凍餃子に匹敵する安さ。ご当地チェーンにもかかわらず、広く名前が知られている理由の1つはここにもあるのかもしれない。

以上、ぎょうざの満洲の安定した人気の理由について調べてきた。ヘルシーさ、安心できる味、コストパフォーマンスと、普段づかいできる要素がそろっているところが、ファンを長年惹きつけている大きな要素だろう。また遠くの人も気軽に味を楽しめる物販も、客の裾野を広げ知名度を高めるのに役立っている。

またとくに飲食店のブランドでは、家族などとの幸せな思い出がブランドイメージとして形成される。親、子、孫と世代を引き継いで利用されてきたことも、ぎょうざの満洲の魅力となっているのではないだろうか。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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