「ぎょうざの満洲」小規模なのに根強い人気のワケ 餃子の特徴は「毎日でも食べられる家庭的な味」

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「天然えび入り水餃子」(380円)。これまでは豚肉の餃子と同様、あんにしょうゆやニンニク、生姜などを加えていたが、リニューアル後は塩が主体の調味に変更。えびの旨味がより引き立つようになった(撮影:風間仁一郎)

例えば11月3日にリニューアルした「天然えび入り水餃子」も、よりえびの旨味が引き立つよう調味料を見直したものだそう。

見直しと言えば、物販の餃子をおいしく焼くためのマニュアルも2022年に改訂した。

コロナ禍で自宅で餃子を焼く人が増えたことも背景にあるだろう。「餃子がうまく焼けない」という客の声に応え、池野谷社長をはじめ調理研修担当や商品開発担当が検証し、編み出したやり方だそうで、店舗と同じぐらいおいしく焼けるという。

このように、毎日食べるものという前提のもと味を追求し続けていることも、満洲の味の特徴をつくっていると言えるだろう。

「3割うまい」の良心的な価格

また日常づかいできる店として忘れてはならないのが、コストパフォーマンス。チャーハンと餃子のセットなら850円、アルコールも生ビール中ジョッキ490円と良心的な価格だ。

同チェーンのキャッチフレーズ「3割うまい」は、売り上げのうち原材料費、人件費、その他経費を3割ずつにし、バランスの取れた経営を行うという意味もあるそうだ。

そのため昨今の物価高騰を受け、10月に値上げも行っている。焼き餃子は以前の280円から20円上がったが、それでも財布に優しい値段であることに変わりはない。

川越工場は本社社屋と一体となっており、ガラス越しに様子が見えるようになっている。ここではスープやチャーシューなどの中華惣菜、豆乳杏仁プリンやオレンジゼリーなどが製造されている(撮影:風間仁一郎)

安さの理由について聞いたところ、「すべて自家製」であることが大きいという。餃子、麺、惣菜、デザートまですべて自社工場で作っているのはもちろん、工場から店舗への配送も自社流通で行っているので、中間マージンがかからない。

なお、作りたてのおいしさにこだわっており、工場から店舗への配送は毎朝行っている。例えば餃子は早朝の3時から作り始め、開店の11時に間に合うよう出荷される。出店が埼玉県と東京都の西部に偏っているのは、埼玉県の坂戸市と川越市にある自社工場から1時間半以内に配送できる場所にしか出店できないためだ。関西方面には、2015年に江坂工場を竣工し出店できるようになった。

ぎょうざの満洲本社・川越工場。左に見える黄色のトラックで店舗に配送する(撮影:風間仁一郎)
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