JR西の新型特急やくも「乗客を寝かせない」工夫 2024年春以降運行開始、デザインで集客なるか

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車内は広々としているが、実はJR西日本のほかの特急車両と比べると天井までの高さが3cmほど低いという。川西氏はデザインの力で広く感じさせるようにした。車内が明るければ広く見える。「しかし、車内すべてを明るくするとかえって広く感じない。そこで、側面と天井を明るく、床とデッキを暗くした」。言われてみればシートも背もたれは緑と青だが、座面は黒だ。

普通車シート 向かい合わせの状態
車内を広く見せるために側面と天井は明るく、床は暗い色にしたという普通車内(撮影:ヒラオカスタジオ)

グリーン車も同様で、シートの背もたれは黄色、座面は赤といった形で色の濃淡をつけていた。シート生地は普通席が「麻の葉」柄、グリーン席が「積石亀甲」柄である。

273系グリーン車
グリーン車は黄色と赤を基調としたデザインだ(撮影:ヒラオカスタジオ)

セミコンパートメントはどんな仕様?

セミコンパートメントも273系の売りの1つだ。2人用と4人用のボックス席からなり、普通車指定席と同額で利用できる。中央に大きなテーブルを設置したほか座面はスライドするとフラットシートになるので足を伸ばしたり、小さな子供を遊ばせたりすることができる。家族やグループ客に喜ばれそうだ。

273系 セミコンパートメント
1号車に設置されたセミコンパートメント(撮影:ヒラオカスタジオ)

セミコンパートメントはグリーン車と分け合う形で1号車に設置されている。席数は需要動向を見越して決めたというが、数が少ないため、JR西日本の予想を超えて評判になればすぐに売り切れてしまう可能性もある。

座面をスライドする作業はややわかりづらく、乗務員の手を借りざるをえないかもしれない。また、セミコンパートメントは1号車ではなく、2号車から乗車するほうが位置的に便利そうである。これもわかりづらいが、むしろ逆手に取って乗務員や駅員が乗客と積極的にコミュニケーションを取れば乗客の満足度向上につながるはずだ。

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