1億人の情報流出、ソニー復活への苦難

1億人の情報流出、ソニー復活への苦難

過去最悪となる1億人超の個人情報流出問題で、ソニーの成長戦略に黄信号が灯り始めている。

5月1日に開かれた説明会で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫社長は「皆様にご迷惑をおかけしたこと、深くお詫びを申し上げます」と淡々と頭を下げた。平井氏はソニーの次期社長候補と目されており、4月にソニー副社長に昇進したばかり。周囲の注目を一身に集める中、就任早々の大舞台は謝罪会見となった。

当初は調査中で流出の規模は判断できないとしたが、日に日に悪い情報ばかり明らかになっている。4日には「プレイステーションネットワーク(PSN)」と「キュリオシティ」の7700万人分の個人情報とクレジットカード番号すべての流出が判明。9日には米子会社のPC向けオンラインゲームの利用者2460万人の流出も確認された。これらはハッカーによるサイバー攻撃の仕業でソニーは被害者ともいえる。ただ6日に発表した別の米子会社の2500人の個人情報流出は、ソニーのサイト上で誰もが情報を見られるという何ともお粗末なミスだった。

周囲の風当たりは厳しい。最も問題視されたのが情報開示の遅れだ。4月19日に不正アクセスを確認したにもかかわらず、公表したのは同月27日。ソニー側は実態把握に時間がかかったと説明するが、今後、米議会は対応の姿勢を厳しく追及する可能性がある。さらには顧客情報に関する管理体制の甘さも露呈した。長谷島眞時・CIO(最高情報責任者)は、「既知のシステムの脆弱性を認識していなかった」と認めた。

すでにカナダではソニーに対し、総額10億カナダドル(約840億円)の損害賠償を求める集団訴訟が起こっている。情報漏洩問題に詳しい弁護士は、「個人情報を抱える以上、企業の管理義務は発生する。顧客は信頼して預けており、企業側の責任は厳しく問われる」と指弾する。

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