任天堂、復活のカギを握る「3つの課金収入」 ゲーム機が落ち込んでも利益倍増を計画

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マリオのアミーボ(写真:任天堂のサイトより)

それでも任天堂キャラクターの人気は根強かった。昨年末の段階でアミーボは570万体を販売し、北米では品切れが起きるほどだった。3月末時点で1050万体まで売り上げるなど勢いは増しているように見える。

アミーボは1体1200円程度で販売されており、1000万体売れると売上高はざっくり120億円規模に上る。今年度はキャラクターを増やし、安価なカード型アミーボも投入することで、さらなる売り上げ増加を狙う。

課金収入2つ目は、人気ゲームの追加コンテンツの充実化だ。新キャラクターや新ステージなどを配信し、1つのゲームを息長く遊んでもらう狙いがある。

スマホはゲーム機への入り口

そして3つ目は、年内にリリース予定のスマートフォン向けゲームだ。ディー・エヌ・エー(DeNA)との共同開発で進められており、年内に第一弾のアプリ配信を予定する。開発にはマリオカートのプロデューサーも加わるなど、気合いの入り方がうかがえる。

「やる以上は成果を出さねば意味がない。世界中で億単位のお客様に楽しんでもらうことで、収益構造の1つの柱を作り上げることを目指す」(岩田社長)と言い切るほどで、来年度末までに5タイトルの投入を計画する。今年度からどれだけ業績に寄与できるのか、注目される。

目的は、スマホゲーム自体の収益にとどまらない。任天堂はスマホゲーム利用者にニンテンドーIDを発行し、PCや3DSなどのゲーム機といった複数デバイスにまたがって遊んでもらうことを想定している。スマホを入り口にユーザーの裾野を拡大させ、ゲーム専用機へ誘導することが大きな狙いだ。

さらにDeNAとの説明会で明らかにされた、次世代のゲーム専用機「NX(開発コード名)」は、来年に詳細が発表される見通しだ。このNX投入までに、スマホゲームでどれだけユーザー層を拡大できるかが、中期的な復活を左右することになりそうだ。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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