50%台も出現、地銀トップの「賛成率」ランキング 地銀の約半数において、昨年より賛成率が低下

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栃木銀行の頭取人事への賛成率は、2021年の株主総会から13%も低下した(記者撮影)

長引く低金利政策に苦しむ地方銀行。加えて、機関投資家が求めるガバナンス水準も高まっており、会社提案の人事を通すハードルは年々高くなっている。

今年の株主総会において、地方銀行のトップは投資家からどれほどの支持を集めたのか。東洋経済は上場する地銀74行の臨時報告書を基に、2023年定時株主総会における経営トップ(社長・頭取)の賛成率を集計。低い順にランキングを作成した。

賛成率が最も低かったのは栃木銀行の黒本淳之介頭取。賛成率は58.83%と、上場する地銀の中では唯一の50%台となった。同行の取締役任期は2年で、一昨年の総会における賛成率から13%も低下した。

栃木銀行の担当者は「ROE(自己資本利益率)の低さが主な要因ではないか」と話す。同行の2023年3月期決算におけるROEは1.7%。赤字の銀行を除けば、地方銀行の中では3番目に低い。同行のROEは近年1~2%で推移しており、機関投資家が求めるROE水準を下回った結果、賛成率が低迷したと見られる。

「特例」廃止も痛手か

もう1つ、賛成票が集まらなかった要因として考えられるのは、地銀に対する「特例」の廃止だ。2021年当時は、投資先企業の業績が議決権行使のガイドラインに抵触していても、コロナ禍や低金利環境を不可抗力として賛成票を投じる機関投資家がいた。2023年にはそうした特例が廃止された結果、反対票が増えた可能性がある。

栃木銀の取締役選任議案を見ると、在任4年以上の取締役は賛成率が軒並み80%を切っている。資本効率の低迷を理由に、在任期間が一定年数を上回る取締役に対して機関投資家が一律に反対票を投じたようだ。

東洋経済の集計では、地銀の半数にあたる38行において、2022年よりもトップの賛成率が下がった。業績やガバナンスに対して、投資家は厳しい視線を注いでいる。

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