ハワイで開業、鉄道「スカイライン」には誰が乗る? 度重なる延期や建設費の高騰の末、ついに完成

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6月30日に開通したのはホノルル市街地の西側に広がる新興住宅エリアのイーストカポレイとアロハスタジアムを結ぶ9駅からなる約17kmの区間だ。途中の駅には大型の商業施設があり、鉄道は沿線住民の買い物の足として便利そうだ。また、ハワイ大学ウエストオアフ校や地元の短期大学の最寄り駅もある。

ホノルル・スカイライン 路線図

ただ、今のところ想定されるスカイラインの乗車目的はこの程度にとどまる。その利便性がフルに発揮されるためには全線開業を待つ必要がある。

現在決まっている計画はアロハスタジアムからダニエル・K・イノウエ空港(ホノルル国際空港)、ダウンタウンを経て、市の中心でオフィス街であるシビックセンターまでの全長約30kmに、19駅を設置するというものだ。沿線全体にはショッピングセンターや学校、オフィスに加え空軍・海軍統合基地もあり、全線開業すれば多くの買い物需要や通勤通学需要を取り込めそう。今回の開業区間が第1フェーズとすれば、第2フェーズがアロハスタジアムから4駅先のミドルストリートまで建設する計画で、2025年に開業する計画だ。

第3フェーズは6駅先のシビックセンターへの延伸で、2031年の開業を目指している。

事業費増大、開業時期も遅れ

開業に至る道のりは決して順調ではなく、開業は何度も延期された。ネックとなったのが建設費などの事業費だ。財源は税収などだが、当初30億〜40億ドル(約4330億~5770億円)とされた事業費は、人件費や機材コストの増加でどんどん膨れ上がり、2022年に公表された報告書では100億ドル(約1兆4330億円)を優に超えると試算されていた。

想定を大きく超える事業費の手当てに時間を要し、工事は何度もストップした。アラモアナセンターまでの延伸計画も棚上げとなった。今回開業したイーストカポレイ―アロハスタジアム間は、本来なら2017年に開業しているはずだった。その後、設備がほぼ完成した2020年1月には「10月中には開業できる」としていたが、その約束も反故にされた。

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