月額3278円のライザップ「chocoZAP」安さの理由 「無人24時間営業」店舗数572店、会員数55万人に

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もう1つが、初心者ゆえのストレス。やせたい、運動不足を解消したいなどの人にとって、「がっつり身体を鍛えたい人」「筋トレマニア」と並んでトレーニングをするのは気後れしてしまうという心理がある。

chocoZAP初台店の店内。初心者向きのマシン9種類、セルフエステ・脱毛ルームを各4室、ゴルフ練習用スペースを整備(編集部撮影)

chocoZAPでは初心者向けを徹底し、あえて扱いの簡単なトレーニングマシンのみでジムを構成している。筋トレ上級者にとってはいわば「物足りないジム」。これにより筋トレ上級者が廃除された空間だからこそ、初心者が安心してトレーニングに集中できるわけだ。

「日本の運動初心者と言われる人が1億人。そのうちシニア、女性がそれぞれ3600万人だ。chocoZAPの対象はこれらの人々で、運動上級者の方は対象外。日本のフィットネス人口は国民の3%ぐらいと言われており、chocoZAPが対象とするのは残りの97%の方々」(鎌谷氏)

また、扱いやすいマシンに限っているのには、安全上の理由もある。24時間無人のため、マシンが壊れたり、扱いを間違えたりすることによる事故に配慮する必要があるのだ。

さらに、多店舗展開のうえで、マシンの種類が多ければ多いほど高コスト構造となる。種類を限ることでコストも抑えられるという、企業側のメリットもある。

運動初心者1億人という市場規模があるとは言え、このように思い切ったビジネスモデルを展開しているchocoZAP。そのビジネスモデルを構築するにあたり根拠としたのが、2021年10月から8カ月にわたって行ったテストマーケティングだ。

「500種類以上のチラシを用意し、どういうサービスを打ち出すとお客様が魅力に感じるかというデータをとって徹底的に検証を重ねた」(鎌谷氏)

エステマシンと脱毛マシンも使える

こうしてつくられたビジネスモデルの中には、ジムとしては意外なサービスも含まれている。例えば一部の店舗における、セルフエステマシン、セルフ脱毛マシンの整備だ。

セルフ脱毛ルームの中。初台店にはセルフエステ・脱毛ルームが各4室、計8室ある(編集部撮影)

「運動初心者の方、とくに女性には、本格的な運動はしたことがないけれど、美容には関心がある方が多い。そうした方に向けたサービス」(鎌谷氏)

エステや脱毛マシンは個室に備えられており、事前にアプリから予約して利用する。とはいえ、多くの人が使う施設の中にあるので落ち着かないのではないかと筆者としては感じるが、目新しさもあってか、利用はされているようだ。また男性の利用者も多いというから、これはこれで新たなニーズを掘り起こしたのかもしれない。

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