月額3278円のライザップ「chocoZAP」安さの理由 「無人24時間営業」店舗数572店、会員数55万人に

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2010年にエニタイムフィットネスが上陸して以降、市場を拡大してきた24時間ジム。コロナ禍という厳しい時期に敢えて参入し、勝負を挑んだわけだ。時流に逆らうことで大きな勝ちを狙う「逆張り」の発想である。

セキュリティ性確保のためにQRコードによる入退室管理を行うほか、AIカメラを死角ができないように設置(編集部撮影)

そのための武器となったのがDXだ。入退室管理や、AI、監視センターによる24時間管理が可能となったほか、アプリによるライフログや体組成のデータに基づく、個々の会員への最適運動提案などを行う。24時間無人化・コストダウンと、セキュリティ確保やユーザーサポートの双方を実現させたわけだ。

さらに同社のビジネスモデルで画期的だったのが、初心者をターゲットにした、サービスの絞り込みだ。併せて、フィットネスジムに求められる価値を捉え直した。

「お客様が大きな価値を感じるのが、『利用したいと思ったときに利用できる』こと。これを実現できるようDXや出店計画を進めた」(鎌谷氏)

例えば無人でトレーナー不在、スペースも狭くプールやスタジオなどの設備もないコンビニジムは、大型施設に比べれば簡略化、サービス低下しているとも捉えられる。

「1日5分のトレーニング」を推奨

しかしchocoZAPでは、「タイパ」「コスパ」「ノーストレス」という3つの要素に価値を置き、「通いやすさ」を追求。この視点でサービスをそぎ落とした結果、ユーザーにとってのサービス向上につながった。

まずはタイパだ。chocoZAPの推奨は「1日5分のトレーニング」で、5〜10分程度、仕事用の服でもできるぐらいの軽い運動を想定。ロッカールームやシャワー室も整備していない(着替え用の個室はあり)。靴の履き替えも不要。つまり、運動以外に時間を使わなくて済むわけだ。実際の使用時間は入室から退室まで平均30分ほどだという。

次にコスパ。月額料金を3278円と相場から大きく下げて設定。無人化、設備の簡易化などでコストを下げながら、会員数を増やすことにより採算を確保する戦略だ。

混雑状況の確認、セルフエステルーム等の予約、マシンの使用方法の確認など、すべてスマートフォンの専用アプリで行う(画像:RIZAP)

「ノーストレス」には2つある。1つが待ち時間のストレス。

通常のジムなら身体を動かす時間に加え、着替え、シャワーをあわせて2〜3時間は滞在する。混んでいればマシンや更衣室、シャワーなど、都度、待ち時間が生じることも多い。

chocoZAPは平均利用時間が30分なので、「回転率」がよい。またユーザーはアプリで事前に混雑情報がわかるので、空いているジムを選んで行ける。これにより、マシンがあくのを待つこともほとんどなくなる。

スタート時からコンビニのドミナント方式のように、路線に沿って1〜2k㎡に1店の店舗網を広げる形で展開してきたそうだ。つまり1駅ごとに店舗があるので、ユーザーの選択肢もそれだけ広がるわけだ。

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