結局、「サウナ浴=睡眠の質が向上」は本当なのか 「"寝る何時間前"がベスト?」驚きの結論は?

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サウナと睡眠の間には、何か関係はあるのでしょうか?(写真:sasaki106/PIXTA)
「サウナに入った後は深く眠れる気がする」「サウナのおかげで睡眠不足が解消した」など、サウナと睡眠の質との、良好な関係を主張する愛好家は多い。
その一方で、「サウナのあとは寝付きが悪い」と訴える人もいる。
それはつまり、サウナと睡眠の間には本来なんの因果関係もないということなのだろうか……?
話題の新刊『「最新医学エビデンス」と「最高の入浴法」がいっきにわかる!究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書日本語オリジナル版翻訳を手がけた、フィンランド在住のサウナ文化研究家・こばやし あやな氏が「サウナと睡眠」の関係について解説する。

「サウナ浴後に眠気が訪れる」メカニズムは?

サウナと睡眠の関係の科学的な解明は、まだ「発展途上」ではあるが、現時点で睡眠不足に悩んでいる人には、サウナ浴が「改善の糸口」となるかもしれない根拠はいくつもある。

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また、少なくとも「寝付きやすさ」に関しては、入浴から入眠までの時間をコントロールすることで改善できる可能性が指摘されている。

それでは、具体的にどのような点を心がければ、日々のサウナ浴を「睡眠の質の向上」へと結びつけることができるのだろうか。

じつは、サウナ本場の国であり、「世界幸福度ランキング」では6年連続首位をキープしつづけるフィンランドでも、不眠症や睡眠障害は「国民病」として問題視されている。

国民の約4割が、月に数回以上の寝付きの悪さを訴えているのだ。

一方で、本来私たちの脳が「疲労回復」に必要とする睡眠時間は、むしろ過去より増えていることを自覚しなければならない。多忙かつインターネット漬けである現代の生活スタイルは、言うまでもなく脳へ「大きな負担」をかけつづけているからだ。

こうした状況を背景に、今も昔もフィンランド人の間で語られる「サウナが睡眠の質を上げるかもしれない」という経験ベースの仮定に裏付けを与えるための科学的研究は、1970年代から続けられてきた。

新刊『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』で紹介される過去の実証研究事例によると、サウナ後の睡眠においては最初の2時間で70%強、6時間で45%も、統計的に「ノンレム睡眠」の量が増加するそうだ。

新刊『究極の「サウナフルネス」世界最高の教科書』で紹介される過去の実証研究事例によると、サウナ後の睡眠においては最初の2時間で70%強、6時間で45%も、統計的に「ノンレム睡眠」の量が増加するという(写真提供:こばやし あやなさん)
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