結局、「サウナ浴=睡眠の質が向上」は本当なのか 「"寝る何時間前"がベスト?」驚きの結論は?

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ただ実際のところ、誰もが入浴後まったく同じタイミングで眠気を感じるわけではないし、入眠効果には個々人のサウナ浴への「慣れ」の度合いも大きく関わってくる、と、サウナ医学研究者のヤリ・ラウッカネン教授は忠告する。

つまり、サウナ浴の未経験者や初心者にとっては、入浴体験による「ノルアドレナリン」の分泌量のほうが勝って、睡眠の改善よりむしろ負担になる可能性も否めない、というわけだ。

だからこそ、2〜3時間を目安にしつつも、自分がサウナ後どれくらいで眠気を感じやすいのか、あるいはどの程度でサウナを切り上げるのがいいのか、自身でいろいろ試して見極める必要がある。

「効果の最大化」までには「試行錯誤」も必要

実は筆者の場合は、サウナ浴のタイミングを就寝前から思い切って起床後に切り替え、早起き効果と目覚めの良さのほうを重視することで、巡り巡って夜の寝付きも良くなる……という好循環を手に入れることができた。取り入れ方は、まさに人それぞれなのだ。

サウナ文化研究家で本記事の筆者・こばやし あやなさんは、サウナ浴のタイミングを起床後に切り替え、早起き効果と目覚めの良さを重視することで、巡り巡って夜の寝付きも良くなる……という好循環を手に入れたという。取り入れ方は、まさに人それぞれだ(写真提供:こばやし あやなさん)

ともあれ、たとえはじめてのサウナ浴のあとはうまく寝つけなくても、入浴時間やタイミングのとり方に慣れてきたら、「期待以上の効果」を発揮してくれる可能性は大いにある。

さらに、不眠の原因がストレスや心の不調にもある場合、サウナがもたらすリラックス効果こそが一番の助力者になってくれるかもしれない。

もしあなたが慢性的な不眠に悩んでいるなら、ぜひものは試しに、サウナ浴を取り入れてみてほしい。あるいは、まずは日本人にとってより身近な風呂での温浴でもいいかもしれない。

試行錯誤は必要かもしれないが、シャワーより時間をかけて身体を温める入浴習慣が、害よりも利のほうを多くもたらしてくれる可能性は十分にあるのだから。

こばやし あやな サウナ文化研究家、フィンランド在住コーディネーター、翻訳家

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Ayana Kobayashi

1984年岡山県生まれ、大阪・神戸育ち。2011年フィンランドに移住し、現地大学院で芸術教育学を学ぶ。「フィンランド公衆サウナの歴史と意義」というテーマで執筆した論文が学内最優秀論文に選ばれ、2016年にユヴァスキュラ大学修士課程を首席で修了。卒業後に起業し、通翻訳や現地コーディネート業務を続けるかたわら、サウナ文化のエキスパートとして、日フィン両国のメディア出演や講演活動、諸外国の浴場文化のフィールドワークを行なっている。2019年に『公衆サウナの国フィンランド--街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス』、2021年に『クリエイティブサウナの国ニッポン』(ともに学芸出版社)を出版。

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